月下に咲く薔薇 12.
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第4会議室のデスクに2本のバラがいつ置かれたのか。その時刻を特定する事は、非常に困難な作業となった。
外出するまでの間は中原が飾った1本きりだったと、キラ達が口を揃える。但し、件の会議室が無人だった時間は確かに存在している上、監視装置の類が一切取り付けられていなかった為、人の出入りや侵入時刻を明らかにする事はできないという。
神出鬼没なアイムが絡んでいるところを見ても、バラの一件があの男の仕業である可能性は極めて高い。次元獣にアイムまで登場した今件についてはスメラギから基地にいる者達へと伝えられ、クロウ達がバトルキャンプに帰還した時には異様に張りつめた空気が随所に漂っていた。
バラが残されていた会議室では黒の騎士団が見張りに立ち、仰々しい規制線の手前と奥に目を光らせている。ワッ太や勝平達15歳未満の子供達は一カ所に集められ、その集団には竜馬と隼人、武蔵が張りついていた。
大塚長官も武装した兵士による巡回警備を徹底させるなど策を講じており、屋内外を問わず夜とは思えない盛んな人の動きが見受けられる。中でも、多くの役割を積極的に買って出たのは、黒の騎士団のメンバーだった。
第4会議室の封鎖だけではない。基地の兵士達と共に巡回警備に参加し、深夜は他のパイロット達に休息を取らせるシフトまで組んでいるというから驚きだ。
「お前らはゆっくりしとけよ」これから徹夜だと話す玉城が、トレミーとマクロスクォーターから降りてきたパイロット達に労いの言葉をかける。母艦は屋外故、やりとりは夜の空気が冷たい月下のもとで行われた。「6本目のバラなんざ絶対に置かせねぇ。俺達黒の騎士団の目が黒いうちはな」
「頼むぞ。だが肩の力は抜いておけ」オズマが、熱くなりすぎている玉城に忠告する。「奴が仕掛けているのは心理戦だ。必ず見つけてやるとこちらが遮二無二になる程、ああいう手合いはその裏をかきたがる」
「ああ、わかってるって」
感情が先行しがちな玉城にしては、珍しく素直な態度を返してきた。意気込みと同時に、怒りをなるべく静かに燃焼させようと努力している事が伝わってくる。今ある熱意の維持だけでなく、長期戦の覚悟をしておくべきと理解しているのだ。
それに気づいたSMSの小隊長は、一つ頷くに留め再び建物に向かい歩き始めた。
クロウ達は、ぞろぞろと彼の後ろに続く。
玉城と千葉達四聖剣のメンバーは、クロウやオズマ達と入れ違いに母艦を目指して夜間警備に就く。
トレミー、マクロスクォーター、そしてダイグレンといったZEXISの3母艦は、バトルキャンプの滑走路を塞ぎ基地の機能を下げてしまわぬよう、基地の端で慎ましく接岸場所を確保していた。
更にトレミーは常時光学迷彩を施し、ソレスタルビーイングの母艦が日本に拠点を設けていると周囲に悟られぬよう最大限の配慮をするという
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