第17話:吸血鬼の花園
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それは、ツヨシとアキがいつもの道をパトロールしていた時の話だった。
「アキ、見て見ろよ、花畑が出来たみたいだぞ!」
ツヨシが進行方向の右斜め前を指さすと、そこには今までには無かった筈の一面のバラの花の絨毯の花園があった。
「うわぁ、キレイ!」
アキは車から降りるとすぐに、バラの花園に飛び込むように入った!
「お、おいっ、アキ!勝手に入ったらダメだろ!」
「大丈夫ですよ!それに、バラのお花も私に来てほしくて呼んでたんですから!」
「はあ?何言ってるの?」
呆れるツヨシをよそに、まるで無邪気な少女のような振る舞いと笑顔になったアキが楽しそうにバラの花々を眺めていた。
「アキ!そろそろ帰るぞ!」
「はあぁ〜い!ツヨシ先輩ったら、女の子がきれいなお花が大好きなのを知らないのね、だから女っ気がないのよっ。」
もう少しバラの花畑に居たかったアキは少しふてくされながら花畑から出ようとしたが…、
「あっ、なに、このバラ、スッゴい綺麗!」
アキの目の前に深紅のとても美しいバラがあった!
「こんなにあったら、一個ぐらい無くなったって分からないわよね!」
良くないことに、深紅のバラの美しさに魅入られたアキは、そのバラの花の部分をちぎり、隊員服の胸ポケットに差した。
「ウフフ、私って可愛いかしら、それとも美しいかしら?」
ちぎった深紅のバラを見ながらにっこりと微笑むアキがパトロール車に戻った。
「アキ、ダメだろ!バラの花を勝手に取ったら!」
ツヨシが厳しく訪ねたが、アキは、
「これ、落ちてたんですよ!」
と、平気で嘘をついた。
しかし、このアキの身勝手な行為が、この後恐怖となって帰って来る事を、この時誰も知る由も無かった!
「パトロール結果、異常なし!」
パトロールから帰り、隊長に報告したツヨシ達をみて、アンヌはアキの胸ポケットにあるバラを見つけた。
「あら、綺麗なバラね!」
アンヌがアキに訪ねたが…、
「は、はぃ…、パトロール中に…。」
突然!顔を真っ赤にしたアキが床に倒れ込んだ!
「アキちゃん!?」
「アキ!」
「大丈夫か?しっかりしろ!」
何故か隊長の三太夫がアキに真っ先に駆け寄った!
「アキ!アキ!」
三太夫がアキの両肩を揺さぶったが、アキは気を失い、高熱からなのか、熱い吐息が漏れていた。
「担架を持ってきました!」
「あ、ああ…。」
医療班がアキを担架に乗せた。
「直ちに医務室に向かって!」
アンヌが医療班に指示した時、何故か三太夫の表情は曇っていた。
「私も行くわ!」
「俺も行きます!」
アンヌの後にアキの身を案じたツヨシも医務室に向かおうとした
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