第二十五話
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わよ。
アンタだって無駄に二十九年も生きてきたわけじゃないでしょ?
だったらそれくらい出来るでしょ。上手か下手かは別にしても」
「し、しかし……」
それでも腹が決まらない、そんな様子の小十郎に私も痺れを切らして、はっきりと言ってやった。
「じゃあ、何? ここで一生あの変態の側室やるつもり? そりゃ、小十郎が抱かれたいって言うんなら私は止められないけど」
「やらせていただきます」
分かれば宜しい。即答で返ってきたところをみれば、やっぱり小十郎も嫌がってたってのは分かる。
ま、あんな変態っぷりを見せられて好む方がどうかしてる。
黙って立ってりゃあなかなかのイケメンなんだけどもねぇ……残念すぎる。
そんなことを言っている間に誰かがこちらに近づいてくる気配がした。
私は慌てて何事も無かったかのように取り繕い、小十郎に目配せをする。
「分かってるわね?」
小声でそう言ってやれば、小十郎は頷いて答えてくれた。
一体どちらに気のある奴が来るのかとドキドキしながら待ち構えていると、近づいてきたのは牢番さんだった。
あちゃー、これは私狙いじゃなくて小十郎狙いの方だわ。
ちなみに牢番さんは男です。女の人ではありません。
ちらりと小十郎を見てやると、物凄く泣きたそうな顔を一瞬だけ見せたけれどすぐに表情を戻していた。
そして軽くこちらの様子を見て立ち去ろうとする牢番を小十郎が呼び止める。
「おい」
「な、何でしょうか」
急に呼び止められて驚いたのか、牢番がうろたえている。
手招きをする小十郎に戸惑いながらも、牢番はゆっくりと格子に近づいてきた。
「……随分と可愛い面してるじゃねぇか」
にやりと笑った小十郎は完全に悪人顔だ。牢番はそんなことを言われて顔を赤くしている。
なんだか恐ろしい光景だったけど、とりあえず私は黙って事の成り行きを見守ることにした。
「俺の相手しろよ」
「なっ、何を仰いますか! あ、貴方様は光秀様の御側室で」
顔を赤らめてしどろもどろに話す牢番に、随分と小十郎が艶っぽい表情を見せて笑っている。
でも、それが若干引き攣っているように見えるのは、私だからかもしれない。
あの子の表情くらい見破れないでお姉ちゃんはやれませんよ。
「固いこと言うんじゃねぇ。……あんな変態の相手よりも、テメェの方がずっといい。
おっと、悪いが鎖で繋がれてるんでな、遊んでやりたいんだがそっちに行けねぇんだ。
流石に牢の鍵を持ってくると変態に怒られんだろ? 鎖の鍵の方持って来い」
小十郎が説得するも、牢番は戸惑って返事をしようとはしない。
あともう一押し、というところなんだけど……さて、どうしたものかしら。流
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