Fate/stay night
1115話
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声の聞こえてきた場所へと到着すると、そこにいたのは1人の女。
制服を着ているからには、この学校の生徒なのだろう。
ただし、意識がないままに床に倒れている状態でだが。
さっきの悲鳴を上げたのは、ほぼこの女で間違いない。
正直、余計な真似をしてくれたという思いの方が強いが……
あのまま戦闘が続いていれば、恐らく……いや、間違いなく俺がセイバーに勝っていたのだから。
勿論油断が出来る状態ではなかった。
セイバーにしてもいざとなれば奥の手でもある宝具を使っただろうし。
けど俺の中にある何かが、あのまま戦っていれば間違いなく俺はセイバーを倒しきる事が出来たと教えてくれているのだ。
この何かが何なのかは、記憶を失っている今では具体的には分からないが。
ともあれ、既に過ぎてしまった事を考えてもしょうがない。
凛からの指示通りに倒れている女に手を伸ばし……次の瞬間、空気を斬り裂くような音と共に、何かが俺へと飛んでくるのに気が付き、反射的に腕を振るう。
握られた俺の拳は、その何かを横に叩いて弾く。
生身の拳であるが、そもそもサーヴァントの拳だ。普通の人間のように容易く怪我をする筈もない。
同時に、俺は自分の拳が弾き返したのが何なのかを悟り、すぐにこの事態の原因を理解した。
女子生徒をそのまま床に置き、視線を廊下のすぐ近くにあり、不自然に開いている外へと続くドアの方へと向ける。
視線の先にいたのは、相変わらず扇情的な衣装を身に纏い、眼帯をしている女。
「ライダー……これはお前の仕業か」
微かに眉を顰めながら問い掛けると、ライダーは何を答えるでもなくニコリとした笑みを浮かべて、その場を後する。
そう、まるで追いかけてこいと言うかのように、これ見よがしに。
まさか恋人同士の追いかけっこをやれって訳じゃないだろう。
間違いなく何らかの罠だ。
ただ、この状況でどうするか。
正直、セイバーの存在がなければライダーを追って仕留めている。
だが、今はまだ校舎の中にセイバーが……そして衛宮が、凛がいる。
頭の中がお花畑の衛宮であれば、あるいはセイバーがいても凛を攻撃しない可能性はあるが……そんな万が一の可能性に賭けてこの場を後にするわけにもいかないだろう。
逆にライダーがいなければ、すぐにでもセイバーを倒す為にさっきの場所まで戻る。
……まぁ、いつまでもあそこにいるとは限らないが。
いや、寧ろ既に衛宮の下に向かっている可能性も高い。
『凛、床に倒れている女を発見した。制服から見て、この学校の生徒で間違いない。で、これをやったと思われるライダーがこっちを誘き出すような動きで逃げていった。どうする?』
『ライダー!?』
念話で答えてきたのは、凛の驚くような声。
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