Fate/stay night
1115話
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ちらへと間合いを詰めてくる。
振るわれる足。
肉付きのいい太股が跳ね上がり、一瞬そのスカートの中が見えた気もするが、そちらに意識を集中する訳にもいかない。
事実、放たれた蹴りは俺のすぐ側に生えていたそれなりに太い木をあっさりとへし折ったのだから。
「女の武器を利用するってのは、ちょっと卑怯じゃないか?」
「あら、そうですか? そうですね、貴方のマスターをこちらに渡すのであれば、それも検討しないでもありませんが?」
「……マスターを、渡せ?」
この場合は聖杯戦争である以上、マスターを殺せじゃないのか?
勿論凛は魔術師として一流の能力を持っているし、身体には遠坂の魔術の結晶とも呼べる魔術刻印がある。
その身体や知識は魔術師としては十分以上に魅力的だろうが、それでも全ての望みを叶えるという聖杯とは比ぶべくもない筈だ。
「お前のマスターは何を考えている?」
「さて、私にそれを聞かれても答えると思いますか?」
「だよな」
何だかんだと言っても、こいつもサーヴァントだ。そう簡単にマスターの情報を寄越すとは思えない。
けど……凛に固執している、魔術師関係?
ふとそんな俺の脳裏に1人のワカメの顔が浮かぶが、凛の話によればワカメの家系は既に魔術刻印を継承している者がおらず、魔術回路も完全に消滅しているという話だ。
つまり、マスターに選ばれるという事は絶対に有り得ない。
けど凛に対する執着や、俺とセイバーが戦っているところで騒動を引き起こし、ライダーを使って連戦させる。
この辺の陰険なやり口は、どうにもあのワカメを連想させた。
そうだな、1つ鎌を掛けてみるか。
「お前のマスターは、俺のマスターである凛と違って自分が戦場に立つ事すらも出来ないような臆病者のワカメだったりしないか?」
「……ワカメ、ですか?」
首を傾げるライダー。
その表情は眼帯に隠れて殆ど見えないが、それでも心底不思議そうに思っているというのは理解出来る。
違ったか。
そう思った、その時。
「誰が臆病者だって!? 僕は慎重なんだよ! 何でわざわざお前達みたいな化け物の前に生身を晒さなくちゃいけないのさ」
いや、晒してるだろ。
思わず内心で突っ込みたくなったけど、まぁ、確かに俺の目の前に晒していないというのは事実だ。
ただし、肉声がこうして聞こえてきている以上、この林の中に隠れているのは確実か。
ライダーと向き合いながら、更に向こうを激昂させる為に言葉を続ける。
「ふんっ、やっぱりお前だったかワカメ。どうりでおかしいと思ったんだよ。昨日の夜の襲撃は、昼間俺に恥を掻かされた仕返しか? 『えーん、ライダー、僕に人前で恥を掻かせた奴に仕返ししてよー』といった具合に。実際、昨日の昼間の
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