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逆さの砂時計
アリアの願い
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で記憶を消した結果、ロザリアになったらしい」
「死のうとしてたの!? アリアが!?」
「ああ。聞いた話だけどな」
「死ななければとまで思っていたのなら……ああ、やっぱりそうなんだわ。アリアを『創造神』に仕立てたのは、レゾネクトとの契約なのよ」

 は?

「レゾネクトが契約でアリアを『創造と救世の女神』にした? 世界各地で破壊の限りを尽くしてた、()()魔王がか?」
「アリアの封印を解く為なら彼にとっては苦も無いわ。実際彼はほぼ実体でこの世界にありながら、現代には悪名を残してないもの。ねえ、ベゼドラ。貴方を封じていた結界の仕組みって、信徒の信仰心を神父に集めて維持するものじゃなかった?」

 チッ。
 考えないようにしてたってのに、思い出させるなよ。腹立つな。

「それが?」
「だとしたら、契約の詳細は多分『アリアに信仰心を集め、解けかけていたアリアの力と共鳴させ、強引に高めて封印を内側から完全に解かせる』よ。アリアはきっと、世界を救う者になりたいと願ってしまった。レゾネクトはその願いを叶える対価として、信徒の祈りで徐々に解放されていくアリアの力を得ていたんだわ」

 俺がクロスツェルの教会でロザリアにしてたのと真逆か。

「アリアは最初、レゾネクトの正体など知らずに契約してしまった。でも、何かのきっかけで気付いたんじゃないかしら? 魔王かどうかは別として、彼は、世界にとって非常に危険な存在であると。その彼と力を共有している事実を恐れた。だから泉に姿を隠し、わざと信仰心を削いで、力そのものを抑えようとしたり、別人になることで共有を(はば)もうとしたのよ。残念ながらアリア本人に何らかの支障があっても、これまでに共有した分は、消えたり抑えられたりしないようだけど」

 自分と異なる時間に観測された事実は、なかったことにはできない。
 契約は別人になっても有効。
 だが、共有する力の持ち主が死ねば、力を消せるかも知れなかった。

 アリアは、自分の力から逃げようとしてたのか?
 レゾネクトに余計な力を与えないように?
 レゾネクトから世界を護る為に?

「……もしそれが事実なら、アリア村での不自然な行動にも繋がりますね。アリアは、レネージュさんを助けなかったのではなく、()()()()()()()()。彼女達に直接手を貸せばもれなく付いてくるであろう信仰心を、どうしても避けたかったから。たった一人の救助もためらっていた彼女が、今は世界を相手に活動を始めている。なるほど。確かにこのままでは間に合わないかも知れません。そうそう簡単に信じる者ばかりではないにせよ、信徒予備軍の(けた)が違いすぎます」

 あの女が、神々と同等の敬われる存在になり
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