遺跡出現までの10日間【3日目】 その4
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君がいなかったら助からなかったかもよ」
「は、はい!」
僕とシグルズさんのやり取りを呆然と口を開けてみていたアカリちゃんが焦った表情で返事をする。吹っ飛ばされた白髪のエルフ君改めフッド君はお腹をさすりながらアカリちゃんにヒシと抱き着いていた。
「ほ、ほら行くぞ。はやくこい!」
何故か自ら体を動かすことができない僕はおじさんに手を引かれながらこの場所を後にした。
☆ ☆ ☆
『珍しく手厳しかったわね』
血を吐いた赤髪のエルフに治療魔法をかけ終わったシグルズの頭の中で女の声が響く。
「ハハ、あのままじゃちょっとまずいかなっと思ってね、つい本気出してしまったよ」
少し苦い表情をしながらシグルズは答える。
『あらあら随分と気に行ったのね、どうしてかしら?』
「………」
興味津々のと言った感じの頭の中に響く声にシグルズは答えない。
『無視なのぉ〜』
残念そうな声が頭の中に響く。それにやれやれと首を振りシグルズは答えた。
「彼に………」
シグルズの表情が陰る。
「俺たちと同じ道を歩ませたくはないから」
さっきまでとは比べ物にならないぐらい聞くものを戦慄させる声が発せられた。
『フフフ、そうね。復讐にとらわれる我が主と同じ道はさすがにあの子にはきつすぎるわねぇ、だってとってもとっても弱いから』
その声を楽しそうに受け止める頭の中の声―――――――ミストルテインがあった。
☆ ☆ ☆
「あんた強いんだな……。拳が武器とか痛いセリフ言ってたからちょっと不安だったんだがほんとに拳が武器なんだな……」
「い、痛いセリフって……」
少し失礼な武器屋のおじさんの言葉に渋い顔をする。
「あの聖騎士さんは別物だったな」
ポツリと武器屋のおじさんがその凶悪な表情を陰らせ言った。
「気づいたんですか………」
恐らく先ほどのシグルズさんと僕のやり取りを素人が見ても何もわからなかっただろう。というかシグルズさんの動きが目で追えなかったはずだ。
「あぁ、あんた3回死んでたもんな」
「ハハハ……、ごもっともで」
僕は苦笑いしながら頬をカリカリと掻く。
「そろそろ防具の修復に戻る、あんたはこの子を送っていきな」
後ろを恐る恐るついてきているアカリちゃんとフッド君を指さしながら武器屋のおじさんは言うと僕達とは反対方向に歩いて行く。
「ありがとうございました」
僕はお世話になった武器屋のおじさんに一礼するとアカリちゃんとフッド君の方を向く。
「ごめんね、ちょっと怖かった?」
「い、いえ! 助けていただいてありがとうございました」
アカリち
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