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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百七十五話 ジャムシード
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馬鹿にならないと見たようだ。決戦前に必要以上に損害を受ける事は出来ないというわけだ。そうだろうな、俺を倒した後にメルカッツとも戦うんだ、出来るだけ損害は少なくしたいと考えている筈だ。だがジャムシードに近付けば話は違ってくる。
今度は向こうから戦闘を仕掛けてくるだろう。ビュコックが来る前に逃げられては困るからだ。そして俺は連中をハイネセンから引き離すべく後退運動をすることになる。これってライヘンバッハプランだな。違う点があるとすれば本家はフランス軍の撃破が狙いだがこっちは避戦が狙いって事だろう。楽をして勝つ、これが一番だ。
敵の主戦力を撃破しなくても敵の本拠地を攻略すれば戦争は終わる。原作でラインハルトがヤンにしてやられたのはそのあたりを割り切れなかったからだ。完璧に勝つ事に拘り過ぎた。ヤンよりも自分が上だと証明したい気持ちもあっただろう。だが俺はもともとヤンよりも自分が上だなんて考えてないから決戦には興味がないのだ。弱い、劣るというのも悪くない、張り合わずに済む。なんか自己弁護みたいで嫌になるな。
宇宙暦 799年 4月 7日 第十三艦隊旗艦ヒューベリオン ヤン・ウェンリー
「帝国軍は追撃してこないようです」
ムライ参謀長の声には安堵の色が有った。皆もホッとした様な表情をしている。失敗だったか。これではジャムシードで戦闘に持ち込めるか確証が無い。もうちょっと喰い付いて来ると思ったんだが。損害を覚悟の上で遅滞行動をしながら帝国軍をジャムシードへ引き摺り込むべきだったか……。
誰も自分の不安を分かってくれない、そう思った。最善なのはジャムシード星域で帝国軍との戦闘中にビュコック司令長官率いる同盟軍が戦場に到着。後背、或いは側面から帝国軍を攻撃することだ。帝国軍に大きな損害を与える事が出来るだろう。短時間で壊滅に近い状況にまで追い込めるはずだ。
その後、態勢を整えてフェザーン方面からくる帝国軍を待つ。或いはハイネセンに急行し帝国軍と一戦する。ヴァレンシュタイン元帥が敗退したと知れば帝国軍には動揺が生じるだろう。兵力面では多少劣勢だが撃退するのは不可能ではない。
だがジャムシード星域で戦闘状態に入っていなければヴァレンシュタイン元帥は後退するかもしれない、いや間違いなく後退するだろう。つまり戦線は睨みあいのまま膠着状態になるという事だ。これでは各個撃破は出来ない。最悪の場合ハイネセンは帝国軍の別働隊の手で攻略される。我々は無意味にジャムシード星域で漂っていた事になる。
ジャムシードでの決戦は無理かもしれない。如何する? いっそバーラト星域まで退くか? 帝国軍は必ずバーラト星域に来るのだ。ビュコック司令長官と合流して帝国軍を待ち受ける。それなら帝国軍の確実な補足と戦力の集中が図れる。……駄目だな、
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