決意
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当に楽しく思ってる。心の密度で言うなら、アクーナに居た頃より充足している。それにここはサバタさんがくれた身を守る居場所、感謝こそすれど不満なんて無いよ」
「フッ……そうか」
私の正直な気持ちを伝えると、サバタさんは安心したように息を吐く。彼が常日頃から私達を気にしてくれている事がわかり、嬉しい気持ちが湧き上がる。
「(それにしても……やはり気のせいか……? さっき麻婆豆腐を食べた一瞬だけ、シャロンとマキナから俺と同じ月の力を感じたのは……。アクーナの民が月光仔の生き残りの子孫、という可能性も無くは無いが……宝くじの一等と同じぐらい低い確率だろう。もし本当に月光仔だとしても、月村家のような特異性が発現していない点から血は相当薄くなっているだろうな。まぁ、麻婆豆腐が覚醒を促した……なんて冗談みたいな話はまず無いだろうが、別に急いで把握する必要も無いか)」
「初めてのお出かけです〜♪ ついでに色んな所も回っていきましょうね、サバタさん!」
「……そういやユーリはまだ会社の外には出た事が無いんだったな。それなら市街探索もしようか」
「はい、私も楽しみです!」
難しい顔で何かを考えるサバタさんの隣で、ユーリは子供のように可愛い笑顔ではしゃいでいる。彼女にも複雑な事情があったのだろうけど、それらから解放された事で素直に心を表現できるようになった所は私達と全く同じだ。だからあんな風に子供らしい姿を見ていると、保護者精神が湧き上がって来てしまう。実際は彼女達の方が年上……それどころか百を超える年齢なんだけど、それは言わない約束だ。
「そういえばサバタさん、どうせ出かけるならベッドとかも買ってきたらどう?」
「気遣いはありがたいが、シャロン。俺は正直に言うと、ベッドはあまり好みじゃないんだ。床に布団を敷くとか、ソファとか少し寝心地の悪い場所の方が慣れている事もあってむしろ眠れる方だ」
「難儀な生活を送ってきたんだね。確かに柔らかいベッドで寝ると、身体の筋肉が凝ったりする時があるのは私もわかる。そういうのが苦手な人もいるのは理解してるし、サバタさんがソファの方が良いって言うなら、私からは何も言わない事にするよ」
「わかった。……じゃあ少し行ってくるぞ」
「いってきま〜す♪」
「いってらっしゃい、サバタさん、ユーリ」
さてと……彼らが出かけるのを見届けてから私はVR訓練場に行く事にした。部屋に備え付けられた端末で“ウェポンミッション・ブレード40”の項目を選んでから、壁打ちテニスが出来そうなスペースの中心で二本の刀を構える。すると次の瞬間、目の前の殺風景な光景が一変して、緊張感のあるVRの世界へと早変わりした。
『クリア条件・銃弾を200発防げ』
視界の上に文字が浮かび上がり、このよう
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