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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-33
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くことに全くなかった。これなら大丈夫と蓮と一夏は布団を並べる。頭が向き合うようにして三組並べると、それぞれ一つずつ持って居間へ向かい、布団を敷く。その際に二つの布団の隙間を開けるのを忘れない。
 布団を敷き終わるとテーブルに置いてある器を持って台所で洗い始める。この間二人の間には会話はなかった。


 男二人が布団を敷いている頃、鈴音は世の中の不公平を恨んでいた。


(みんな胸大きすぎるわよっ!!! なんだっ、ぺったんこのアタシに対する当てつけかっ……って、誰が貧乳よっ!!)


 自分で墓穴を掘っているのにも気づかず、心の中で毒づく鈴音。それもそのはず、絶望的なまでにぺったんこなのは彼女だけなのだから。次に小さいシャルロットでもそれなりにある。少なくとも貧乳と言われる範囲外なのは確かだ。セシリアも箒も大きい。だがそれは普段の生活の中で分かっているから、そんなに気にならなかった。
 問題は麗菜と束の二人なのだ。


「麗菜さんも束さんも大きいね。どれくらいあるの?」
「うーん、どうだろ。前にはかったときは確かHぐらいはあったわよ」
「束さんはもう分かんないかなー。今でもまだまだ大きくなってるからねぇ」


 鈴音からして見れば、二人についている大きな脂肪の塊がもはや化け物レベルである。束に至っては、まだ大きくなっているらしい。この世の不公平を恨まずにはいられない。
 そうして鈴音が心の中で血の涙を流しているとセシリアが麗菜のあるところに気付く。


「あら……? 麗菜さん、この脇腹にある大きな傷跡は何ですの?」
「あ、これ? 昔にねISにつけられたんだ」


 麗菜の左わき腹には大きな裂創が残っている。きめ細やかな白い肌にはとても目立つ傷痕。理由を聞けば、まさしく彼女が当時、大量殺人者だったことを窺わせるものであった。
 だが、自分が正義であると信じて疑わないものは、ここに殺人者がいることに我慢がならないようだ。今までは、そのことを知らないままでいたが、ふとした拍子に聞いてしまい、それからは親の仇を見るような目で見ていたのは箒。その姉の束はそんな箒のことを気づいてはいたが、特に何もしない。もはやただの血を分けた他人にすぎないのかもしれない。


「どうして人殺しがここにいるんだっ」
「ちょっと、箒。失礼だよ」
「いいわよ、別に」


 思わず口に出してしまった箒を窘めるようにシャルロットが諌めるが、麗菜はそんなシャルロットを止めて箒を見据える。先程まで柔和だった麗菜の笑みが一転して目つきの鋭いものになった。それはまるで抜身の刀のようで、動けば着られると錯覚してしまうほどのものだった。


「あなたは私をそう思っている。でも私は、自分を普通の女の子だと思ってる。それに、ここには逃げ
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