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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-33
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ラウラ・ボーデヴィッヒその人そのものだった。
 元々白かった肌からは血の気がなくなって青白くなり、呼吸もしていない。さらに何も身に着けておらず、生まれた姿のままで膝を抱えて蹲るようにしてバックの中に詰め込まれていた。


「……哀れですね、一番に考えていた人に裏切られるように捨てられるとは。ただ、もうそんなモノとは無縁になりますが」


 そう言ってクロエがどこからか取り出したのは、医療用のメスだった。メスを一旦床に置いてラウラをバックから引っ張り出すとうつ伏せにして長い銀髪の紙をかき分けてうなじを出す。改めてメスを拾い、握りしめて振り上げるとそのままうなじを切りつけた。
 ドピュッと出血するが、気にも留めずに切りつけたさらに奥を見ると機械の部分が見えて、そこにマイクロチップが埋め込まれているのが分かる。自分の手が血で汚れるのにも構わず、マイクロチップを抜き取ると握りつぶした。手に持っていたメスを消すと新しいマイクロチップが手に現れる。


「これであなたも終わりですね。自分は頑張って黒兎部隊の隊長にまで上り詰めたが、部隊員全員に裏切られるという何ともいえない滑稽な役を与えられるんですよ。どんな気持ちですか?……って聞いても答えられるわけありませんよね。お別れですね、哀れな黒兎」


 マイクロチップを差し込んだ。それから切りつけたうなじに何か液体をゆっくりとかけて終わり。
 これで仕事が終わったと言わんばかりに体を伸ばす。不用意に何かを残していくわけにもいかないため、持ってきたキャリーバックと握りつぶしたマイクロチップの残骸もひとかけらも残さず片付けて、自分の首にかけているISを展開する。


 残ったのは傷一つない裸のラウラだけだった。


 ◯


「……はあぁぁ……」


 一夏たち五人が見るのは、昔からあるような日本風な屋敷。お寺のような作りをして広い庭もある。そう蓮の実家だった。
 呆ける一夏たちを置いて蓮と束は先に進む。広い庭を両脇に進むと屋敷の玄関が見えてくる。その前に誰かが立っていた。誰かは困ったように首を傾げていたが、気配を感じたのか振り返り、蓮の姿を視界に入れると満面の笑みで駆け寄ってきた。


 蓮から遅れる五人は、きょろきょろとしながら一歩一歩敷地に入ってゆく。奥に進み、束に追いつくと蓮と話している人に気付く。――――その瞬間、セシリアと鈴、それにシャルロットの三人は戦慄した。


 見る者を興奮させるような情熱的な長い赤髪。髪の色とは対照的に冷静な印象を持たせる碧眼。唇から覗く鋭い八重歯は、無邪気さと反面的な獰猛さを窺わせる。
 軍属であれば知らないものはいない国際重大指名手配犯。蓮の隣にいる篠ノ之束のほかにもう一人の計二人しかいない重大指名手配犯。それに束のよ
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