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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第三九話 絆
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壊してお前を引きずり出してやるさ。そこに是非なんぞあるものか。”
「あったようだね、確かな絆が。」
はっ、と跳ねるように顔を上げた唯依に純白の軍服を纏う“お兄さん”がほほ笑む。
唯依はすでに答えは得ていた、疑念という闇の中でも確かに辿れる絆という導を得ていた。
唯依の確信を感じ取った甲斐は視線を透き通る薄月の浮かぶ大空に向けた。
「その絆を信じて進むんだ、そして見極めるといい。“その者を理解できないとしたら、それはその者の一面しか理解できていないという事だからね。”
真壁少尉との会話で彼のことが分からなくなったのなら――単に、君の知らない側面があった、それだけだ。
……それを知っていくのが夫婦って関係だと僕は思うな。」
「甲斐中尉……そうですね。」
甲斐の言葉、それは奇しくも忠亮がかつて唯依に告げた言葉と酷似する意味合いだった。
人が真に分かり合うことはあり得ない、分かり合えたと思ってもそれは幻想に過ぎない。だが分かり合おうという努力を怠ってはならない。
特に、これからを一緒に歩んでゆく人間となら猶更だ。
ならば、知ってしまった新たな一面、その奥にある真意を自分は知らねばならない。
「それにしても、いくら君が大事とはいえ僕たちを置いていっては警護の意味がないというものだよ。」
「あ……」
愚痴る甲斐、摂家の身辺警護を行う彼ら三人の内、二人までもがこの基地に残っていた理由を知る唯依。
嬉しさと悲しさがごちゃ混ぜになった何とも言い難い感覚が胸を占める。
「まぁ、とは言っても“男と見込まれた”と思えばそう悪い気もしないけどね。」
そう言って静かに微笑む甲斐。
其処には忠亮から彼に対する戦友としての絶対の信頼があった。そしてそれは同時に自分はまだ、信頼はされていないという事だった。
先ほどのような体たらくを晒した身の上ではあったが、悔しいという感情に眉を潜ませる唯依。
「―――悔しそうだね。」
「ッ!!」
自分の真意を見透かした甲斐に心臓を鷲掴みされたような緊張を覚える。
「彼女もよくそんな顔をしていたよ。」
「彼女とは……まさか。」
「ああ、君のご想像の通り。伊上ゆいの事だよ……彼は一度たりともも彼女に背を預けなかった。」
「え……」
忠亮はただ一度として婚約者でもあった人間に背中を預けなかった。それは少し意外だった……唯依の予想として、共に支えあっていた印象があったからだ。
「何か、問題があったのですか?」
「いや、問題はなかったよ。寧ろ、衛士としての技量で言えば同期の中でトップ3に入る腕前だった……だけど、彼は絶対に彼女に背も隣も預けなかった。」
忠亮と甲斐の成績で言えば甲斐が総合一位であり、二位が誰か
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