第十五話 幼児期N
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
君が俺をどうしたいのか聞きたいよ!?
******
「あぁ、うん。やっぱりそういうことだよな。俺もそうだと思ってたんだよ、うんうん。……ほんとによかった」
『まぁ、アリシア様はますたーのことを、兄として慕ってくれていますからね。もともとそういう意味で言ったのだと思いますよ』
「そ、そうか。でも、妹か…。やっぱり難しいよな」
あれから家に帰り、俺はソファの上でぐだぁっと倒れ込んでいた。なんか精神的にどっと疲れた。ピクニック自体は楽しかったんだけどさ。
アリシアのお願いだが、別に俺のお姉ちゃんになりたかったわけではないらしい。そこは心底安心した。うん、やっぱり俺はお兄ちゃんがいい。もちろん、アリシアがお姉ちゃんなのが、いやだという意味じゃないんだけどねー。気持ち的なものでして。
「……守っていきたいか」
アリシアは母さんと一緒に、晩御飯の準備をしている。リビングとキッチンは繋がった構造なため、ここからでも2人の様子がよくわかった。楽しそうに頑張っているようだ。
そんな姿を見ながら、俺はあの時のアリシアの言葉を思い出していた。
『あのね、私今が好きだよ。みんながいるからいつもすごく楽しいの。だけどね、時々それだけでいいのかな、って思っちゃうんだ』
原作のアリシアが妹を欲しいと思った理由は、なんとなくだけど想像は出来る。寂しかった思いと、母さんを支えたい思いが、それに繋がったんじゃないのかなと俺は考えている。
『私はいつも、みんなに守ってもらってるよ。大切にされているよ。でもね、私も守っていきたいの。お兄ちゃんみたいにお母さんに頼りにされて、みんなを笑顔にしてくれるような、そんなお姉ちゃんに私はなりたい』
自分を変えたいという思い。俺がいることで、変わるものがちゃんとあるのだと気付いた。確かに俺がいても、変わらないものもあるだろう。それでも、物語に囚われる必要はないんだと感じた。だって俺たちの可能性は、いくらでもあるんだとわかったから。
『もし私にも妹がいたら、今の私みたいに一緒にいてくれて、嬉しいと思ってくれるような、そんなお姉ちゃんになりたいなって思ったんだ。しっかりした私になって、妹を大切にしていきたい』
その後、もちろんお母さんやお兄ちゃん達を守れるようにも頑張るよ、と笑顔で伝えてくれたっけな。
『ますたーの影響でしょうかね。まだ幼いですし、おそらく自分にも守るべき存在ができたら、変われるのではないかと思ったのかもしれませんね』
「そういや、兄は妹を守るもんだって言ったことがあるかも」
アリシア自身、妹が欲しいとは言ったが、今はまだ違うらしい。欲しいなとは思うが、しっかりしたお姉ちゃんになれたら、頼りにされるような
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ