第十五話 幼児期N
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ネタに素の反応を返されました。
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「そうだわ、ねぇ2人とも。少しお話を聞かせて欲しいのだけど、いいかしら」
一服していた俺たちに向け、母さんが思案した表情を浮かべながら質問してきた。俺もアリシアも不思議そうにしながらも、大丈夫なことを伝える。どうしたんだろ、改まって。
「もう少ししたら、2人の6歳の誕生日が来るでしょう? お誕生日のプレゼントに何か欲しいものはあるかしら?」
「え…」
「お誕生日に?」
花畑に来たことで、もしかしてと思っていたけど。そうか、ここがあのシーンだったのか。母さんがこのタイミングで、この質問をしてくることは特におかしなことではない。でも、やはり原作通りの場面が起きたことに、なんともいえない感覚がある。
やはりこの世界は、物語とは切って離せないということなんだろうか。コーラルというデバイスが出来ても、リニスが超アグレッシブになっても、リリカル物語が軸としてちゃんとあるのかもしれない。俺がいたことで、本当に原作は変わるのだろうか。変えられるのだろうか。
俺にとって初めての原作との邂逅。納得していたと思っていた小さな不安が、俺の中に再び芽生える。
「えぇ。プレゼントはすぐに用意できるかわからないけど、今年中にはきっと駆動炉の開発も落ち着くと思うわ。だから、2人の意見を聞いておきたかったの」
6歳の誕生日。本来の未来では、決して迎えることはなかった日か。……しっかりしろ、俺。不安なんて考えたら、いくらでも出てくるに決まっている。一度決めたのなら、突き進むしかないんだ。物語の運命に立ち向かうんだろ。
「よっしゃあ。それなら俺は、探索マップみたいなのが欲しい! そういうのがあったらさ、もっと放浪の幅が広がりそうだ」
「ふふ、アルヴィンらしいわ。危ないところには、いかないように注意しないと駄目よ」
「もちろん」
実際に欲しいと思っていたしな。RPGとかで、マップ100%達成とかよくやってたし。こう自分の歩いた場所が目に見えると、埋めていく達成感とかもある。知らない場所だと、地図があるかないかでかなりちがうしな。当てもなく放浪したい時は、ぶらぶらしたらいいし。
「アリシアはどう? 何か思いつく?」
「私は…」
妹はうーん、と口元に手を持っていく。アリシアの欲しいもの。俺は自然とその答えに身構えていた。俺の知っている、物語としての未来が頭をよぎる。
ふと気付くと、アリシアが俺の顔を見つめていた。俺は顔が強張っていたのかと思い、慌てて顔を手で触ってみるが、特に問題はなさそうだ。どうしたんだ?
「……あっ」
アリシアは俺の顔を見据えながら、小さな声をあげる。どうやらプレゼントが思いついた
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