ターン35 光の結社とアカデミア−4F−
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「……よし、清明。確かこの部屋だよな」
「ちょっと待ってね。えっと……うん、この部屋に隠し通路が仕掛けてあるんだって」
ポケットにねじ込んでおいた、三沢からもらったホワイト寮地図を再確認する。間違いない、4階のこの部屋だ。
「なら、一気に行くぜ。せーのっ!」
「待って待って!鍵あいてたらどーすんの!?」
頑丈そうなドアをタックルでこじ開けようとした十代を慌てて止めて一応ドアノブに手を伸ばしてみると、案の定滑らかな動きで普通に開くことができた。まあ、あちらさんとしても僕らが入ってくるのは想定内みたいだし、ここで鍵締めて閉じこもるような見苦しい真似はさすがにしないだろう。
それに、鍵が閉まってないと思う理由はもう1つある。仮に閉じこもっていたとしても僕の場合は、精霊召喚の一発でドアどころか壁ごとぶち抜かせることもできるから特に意味はない。そのことを、霧の王に頼んでノース校との対抗戦のときスプリンクラーを誤作動させたことから斎王だって百も承知のはずだからだ。
「うし、それじゃあ……」
「思ったより遅い到着だな、清明に十代」
勢いよく開けた部屋はさっぱりとしていて、意外にもシンプルな造りだった。あくまでも隠し通路のためのつなぎの部屋、ということだろうか。だけどそんな部屋の中でも僕らの目を引いたのが部屋の中心に置かれた一組の机と椅子、そしてそこに腰掛ける1人の男。
「三沢」
「よう。俺の思った通り、やっぱりここまで来たのはお前たち2人か」
最後に会った修学旅行あたりで見たのと同じ銀髪に白服姿をした、僕の親友の1人。まあ、どこかで会うことになるのはわかってた。鎧田と同じだ。
「十代………行って。僕がここは止めるから」
「いいのか?」
「三沢が無茶してこんなことになったのも、もとはといえば僕のせいだからね。だったら、僕が責任取ってどうにかするさ」
僕の思いが伝わったのかそれ以上何も言わず、十代が僕の横を抜けて開きっぱなしの隠し扉の方へ駈け出した。のだが、その行く手をすっと三沢が塞ぐ。
「なんだよ、三沢」
「斎王様のご命令でな。この場所まで遊城十代が来たら、他の奴はいいから俺が止めろとのことだ」
「俺を……?」
「ああ。正直理由は俺にもわからんが、俺がそんなことを知る必要はない。俺はただ斎王様の命令を遂行するだけだ」
ここでいったん言葉を区切り、それにな、と呟く。
「個人的な理由だがな、十代。お前にはまだデュエルで勝ったことがなかったはずだ。それは俺のプライドが許さない」
その言葉をどう受け取ったのか、いつになく難しい顔の十代からは読み取れなかった。だけどやがて、その手が右手のデュエルディスクに伸びる。
「清明。……斎王は、頼んだぜ」
「任せといてよ」
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