五十九階層攻略前
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あれからの話をするとしよう。
先行したアイズ達がダンジョンに入ってからのことなんだが、俺たち二班が出発を待っているとダンジョンからアイズとリヴェリアが現れたのだ。しかも、身体中が傷つき、満身困憊の気絶したクラネル君と、小人族の少女を背負って。
突然のことに俺たちをも焦ったのだが、質問もできぬ雰囲気であったためにそのまま摩天楼施設へと駆け込んでいくのを見送ったのだった。
何があってこうなっているのかは全くわからないのだが、アイズ達がダンジョンに潜ったところで、クラネル君に何かあったのは明白だ。恐らくだが、あの小人族の少女はクラネル君のパーティ仲間、といったところであろう。
「あの二人、どうしたんや?」
完全に二人の姿が見えなくなったところで、周りがざわつき始めた。
まあ、当然のことか。ファミリアの副団長と、あの【剣姫】が見知らぬファミリアの者を運んでいたのだから。
「さあな。俺にも分からん。ただ、二人とも無事だといいんだが……」
「お? 知り合いなんか?」
二人とも、というのが、アイズ達が背負っていた人物だと察したのだろう。士が興味深げに聞いてくる。
「ちょっとな。ただ、あの小人族の女の子は知らんけど」
「ほぉ、心配やったら様子でも見てきたらどうや?」
「……いや、大丈夫だろう。俺が心配してもしゃあねえよ」
そんなもんかいな、と呆れたような声で肩をすくめる士。
だが、実際のところ、心配はないはずだ。原作を殆ど知らずとも、あのクラネル君が主人公だということは分かっているのだから。
◆
◆
野営地の準備を完了させた【ロキ・ファミリア】は食事に移った。
今回の遠征において、俺は【バルドル・ファミリア】からのたった一人の同行者だ。
そのため、野営などの準備に関しては【ロキ・ファミリア】に一任するしかなかったのだが、その事についてはフィンさんから任せてくれと言われているため、安心している。
俺のために一人用のテントを用意していてくれたことについてはかなり驚いたが……
営火を囲むようにして、キャンプの中心で大きな輪になる団員達に、ごちそうが振舞われる。
食事の内容は肉果実を始めとした迷宮産の果実と干し肉、大鍋で作られたスープだ。
ここ、五十階層まで突破した団員達への労いと士気の維持を兼ねたものなのだろう。
ただ、うちの万能執事の作る日々の食事で、すっかりと舌が肥えてしまった俺には少しばかり満足できなかったが。
「なんや。あんまり楽しめとらんのか?」
「士か。いや、そういうわけでもないけどよ。こ
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