暁 〜小説投稿サイト〜
月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 11.
[6/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
花は今はどこに? クランが持っているのなら、マクロスクォーターの内部か」
 ティエリアがロックオンに早口で問いかけると、ロックオンはまずかったかもという顔をし、手の仕種で斜め下を指す。
「いや。クランの希望で、第4会議室に飾った」
「バトルキャンプか!?」
 ティエリアとジェフリーが、同時に目を見開く。
『すぐに、第4会議室に誰かを向かわせよう』
 自分が最も近いと悟ったゼロの反応は早かった。
 今、件のバトルキャンプから交信に加わっているのは、ゼロだけだ。華奢だが堂々とした立ち姿は惨事の前と何ら変わらず、腕を大袈裟に振り上げ一旦フレーム・アウトすると20秒程後に戻って来る。
『今、カレンと藤堂を確認に走らせた。状況は、到着し次第報告させる』
 緊急事態にもかかわらず、落ち着いた口調が頼もしい。たとえ、ゼロの正体がスメラギの推測通りに若年の男だとしても、仮面で隠しているのは憤りや動揺ではないのだとわかる。
 思えば、仲間にもその正体を明かさないゼロに、ZEXISが二つに割れかけた過去などもあったか。しかしも結果で応えるゼロと彼が醸し出す高貴さは意外にもZEXISと親和性が高く、仲間達との壁となっていた仮面にやがて誰も抵抗感を抱かなくなっていた。
 またもゼロは、結果で応えるのか。彼には最早、励ましのケーキなど不要なのかもしれない。
「助かるわ」スメラギが礼を告げ、改めて皆に向き直る。「三大国家に隙を見せまいと、大塚長官はよく動いてくれているわ。勿論、昨夜からの私達だって。…それでも、アイムの侵入を防ぐ事ができないとしたら。悔しいけれどお手上げね」
「…なんてこった」
 黒の騎士団からの報告も気にはなるが、最大の問題は神出鬼没なアイムに対しバトルキャンプが無力である事だ。クロウから漏れた焦燥の呟きに、何人かの唸り声が続いた。
「ちっちゃい子の一人歩きとか、危険じゃない? 基地の中も外と同じだって教えないといけないわね」
 ミヅキの提案に、スメラギが力強く首肯する。
「ギミー達には、当分の間集団で行動してもらいましょう。ワッ太や勝平達には悪いけど、パイロットとはいえ彼等の扱いもギミー達と全く同じに」
『私も同感だ』と、映像のジェフリーが賛同する。
「そして、クロウ」
「俺は、そのお子様達のガードか?」
「いいえ」
 妙ににっこりと微笑むスメラギに、クロウは多少の違和感を覚えた。違和感? 違う、嫌な予感だ。
「クロウ。あなたには当面、ロックオンと2人で常時行動して欲しいの。多少窮屈かもしれないけれど、我慢して」
 ぷっと吹き出すミヅキをわざと無視し、クロウは「努力目標でもいいか」と不貞腐れながら肩を落とす。
「あら、もう1人ガードを増やしてもいいのよ。子供達だって我慢するのに、いい大人がわがままを言わないで。それに
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ