月下に咲く薔薇 11.
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徐々に高度を上げるマクロスクォーターを追い抜き、エクシアとブラスタは更に上方で待機しているトレミーを目指し夜間飛行を続けた。
SMSの機体としてクォーターを母艦とするオズマ機とルカ機は、クロウ機と別れ既に着艦を終えている。
クロウが戻るのは、スメラギ達への報告の為。一方、刹那はそのトレミーの為にエクシアをソレスタルビーイングの母艦に収容させる必要があった。つまり、パイロットとして着艦後にもう一仕事残っている事になる。
私設武装組織ソレスタルビーイングの名を地球圏全域に刻み込んだGN粒子。ZEXISのパイロットにとってはすっかり見慣れた代物だが、驚くなかれ、母艦プトレマイオスにはその発生機関が存在しない。内蔵されているのは貯蔵・放出機構だけで、戦闘後4機のガンダムはその母艦の貯蔵部分にGN粒子を蓄える為、指定場所にガンダムを固定しなければならなかった。
トレミーにはブラスタや他のガンダム、葵達のVBMなどを収容する為のペイロードが確保されているが、ガンダムマイスターのMSだけはその空間に収容される事はない。
蓄えたGN粒子のみがトレミーを飛行させ、敵の攻撃から自身を防御する。その為に、母艦への帰投後にも大きな役割を担っている機体。それが、ソレスタルビーイングのガンダムだった。
エクシアの背面から放出されるGN粒子を眺めつつ、クロウも愛機をトレミーに着艦させる。ここで、エクシアとはお別れ。ブラスタは自力で奥に進み続け、キラのストライクフリーダムガンダムが直立する横にブラスタを並べた。
思えば、クロウ達が名無しの集まりだった頃から今まで、トレミー以外の艦をブラスタの母艦にした事はない。フリーランスであるが故に、誰と共に行動しどの艦を母艦にしても良い訳だが、クロウは敢えてトレミーをブラスタの母艦と決め、ZEXISが部隊を幾つかに分ける時も常にソレスタルビーイングと共に行動していた。
専属メカニックのイアンが現在最もブラスタの扱いに長けている為、苦し紛れとはいえ一度自らの意志で見習い志願をした為。理由は様々だが、過去にZEXISの裏部隊としてこの艦が囮の役割を担った時、決意は固まったように思う。
昨夜よりは疲れた顔をして、クロウは愛機を降りる。
案の定、格納庫の出入り口では腕組みをしているロックオンが1人こちらを睨んでいた。
「無事で何より、と言ってやりたいところだが。クロウ、俺が何を飲み込んでいるのかは、わかるよな」
「ああ」と答えるより他にない。
ロックオンが、煮え返った思いと万の言葉、拳の一撃のセットを己の中に封じ込めている事は容易に想像がついた。ここで殴り飛ばし憤怒を発散する事もできるのに、一度は拳を握った右手が親指を出し、クロウを狭い通路の奥へと誘導する。
歩く足を止めるな、と仕草が無言で語っていた。
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