第十五話:買い物への道中
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左手を固定したまま、更に右の肘鉄で押しこんで行く。
……あ? 何で左手はそのままか、だと?
そんなの当たり前な事だろうが。
「近寄るな、マリス」
「……楓子の急な行動から敵襲だと誤判断した」
「馬鹿を抜かすな。そして寄るな」
マリスが楓子の真似をして、ピッタリ寄り添おうとするからだよ。
温度的害と、精神的害が同居する行為など、頑としてお断りさせてもらう。
「一々コイツの奇行に反応すりゃ、キリが無いと思うが……」
「……私は殺戮の天使。故に、常日頃から心の中に、戦いの空気を置く―――という設定」
「……ハァ」
俺はその瞬間、何だかバカ妹が二人になった気分に陥る。楓子は未だ突進してくるため、肘鉄では無く掌を使ってとめ、同時にまた頭痛がしてきた。
……だから唐突に力を抜き、腕を弛緩させて半歩下がる。
「ふぎゃっ!」
「……っ!」
そうすれば真剣に(バカを)やっていた二人は、体勢を戻せず見事にゴッツンコ……ざまぁみろ。
「いい加減諦めろ。話が続けられん」
その一言で楓子とマリスは、渋々と言った感じで離れていく。何で俺が譲歩されたみたいになってんだ、オイ。
「それで、大事な事ってのは?」
「そのノートの名前、決めようよっ」
「却下」
「ぶへぇっぷ!!」
即座に鼻っ面目がけ辞書ノートを一発。実に耳心地の悪い音が鳴る。
「そひゅっ……そ、それガチで痛いよ、兄ちゃん……」
「無駄な発言の自業自得だ」
「無駄じゃないよ有益だよ、普通は決めるもん! というか、キャッチコピーが無いと、お客さん呼べないでしょ?」
「現実と妄想の区別を付けろ」
「デスノートとか付いてた方がカッコいいでしょ?」
「全然」
「即答!? 少しは肯定の意を含めてよ!?」
そこでハタ……と考えた。
名前のセンスやら発足するにいたった理由はどうしようもなく阿呆だが、しかし紛らわしさを回避するべくとするなら、別段名前があっても不自由はなかろう。
「まあ……区別を付ける為だけなら、良いか。お前が勝手に決めろ」
「やたっ! じゃあじゃあ《絶対少女黙示録》で!」
「了解。《絶対少女黙示録》だな」
「……ん、《絶対少女黙示録》、わかった」
俺としてはシンプルにシスターズノートとか、ダサめに妹ノートなどもあったが、どうせ却下されるし、こういったモノに対してはマリスは肯定しそうだったので、素直に諦めてそれを呼ぶ。
……最近だと名前が物凄いバンドとかあるからな、案外恥ずかしくはないものだ。
というか、これ位の体裁崩れなら許容範囲内だ。
この程
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