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少女の黒歴史を乱すは人外(ブルーチェ)
第十五話:買い物への道中
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説明を野別幕無しに喚いてきた。
 もう一度言う、この楓子(バカ)には聞いてねえ。そうなるのが分かってたからだ。
 俺は聞きたくもなかったので、この妹の早口で紡がれる戯言を(物理で)遮った。

 敢えて具体的に突っ込むなら――― “十の十四乗を越える” なら素直に “一兆以上” っていいやがれ、面倒臭い。
 ……そもそも数値が無いのに、数字を出した意味が分からない。

 エンジェリック変換とか疑似マイクロエヴンズゲートとか、オリジナル単語を説明内に割り込ませるな。理解できる物もできなくなる。
 説明の意味分かって無いだろコイツ。

 パンデモニウム効果って……日本語で『大混乱』効果って訳す事になるが、自ら混乱してどうする。
 自滅でもする気か?

 ……もう考えるのも面倒くさくなってきたので、嘴を挟んだ馬鹿(かえでこ)に期待せず求めている事を促した。


「うぐふっ……に、兄ちゃんの心の力がマリスたんに注がれる事で、マリスたんが一時的にパワーアップするの!」
「……まあ、さっきよりは大分マシか」
「さり気にひどい!? 折角の設定説明だったのに!」


 日本語に“類似”した理解不能な言語しか飛び出ない口を持つ女はさておき、単純明快になった説明を聞けて俺は役割の内容を理解し、納得した。
 力を送るだけならば、自らの体を危機に晒さなくてもよさそうだし、生存確率は上がったと言えよう。


「で、使い方は?」
「……私と想いを一つに重ねる」
「名付けて―――――」
「チッ、全く使えないなこの力。無理な事ばかり押し付けてきやがって……」
「《俺嫁力(おれよめちから)》って諦めるの早っ!? そして説明また遮られた!」


 ふざけるなってんだ……速攻諦めるに足る理由だろうが、想いを一つに重ねろとか。
 楓子に聞かされたが、これで本来なら左手に六芒星のタトゥーが入りやがるとか。
 格好悪いし恥ずかしいし、煩わしい以外の何の感想も抱けない。

 良かったなホント、中途半端且つ奇妙な契約方法になって。
 別の概念とやらに感謝、また感謝だ。
 まあ、全然使えない事に変わりはないが。


「……何も、最初から全否定して諦めなくても……」


 マリスの鉄面皮の如き無表情に、何処かシュンとした落ち込んでいる様な物が混ざったが、まあ気のせいだろう。断定してやる。


「兄ちゃん、ちょっと意気地無し過ぎない?」
「意気地有り無しの問題じゃねえ」


 具体的であっても訳の分からない単語を並べられるより、漠然として威容が抽象的な方が、確かにこの場に限っては分かりやすい。
 だが想いを一つに重ねろと言われても、逆に抽象的にも程があり、易々分かって実践できるものじゃあ無い。

 そ
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