第四章 誓約の水精霊
第七話 誓い
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け尋ねる。最終的に士郎に回ってきた問いに、士郎は頷く。そして顎を一撫ですると、対面に座るキュルケ達を視線を向ける。
「それで、何でキュルケ達は水の精霊を襲っていたんだ?」
「それは……」
「……」
士郎の問いに、キュルケは横に座るタバサを見やる。タバサは膝に顔を当てたまま、ピクリとも動かない。その様子に、一瞬顔を悲しげに顔を歪めると、すぐにキッと、視線を強くし、キュルケは事情を説明しだした。
「ちょっとした家の事情と言うものね。ここら辺がタバサの実家があるんだけど。水の精霊のせいで水かさが増えてるじゃない。それで領地に被害があったから、退治を頼まれたと言うわけよ」
「……そうか」
「そう言うこと」
キュルケの説明に士郎は小さく頷く。注視していなければ、見逃してしまう程、小さく息を吐くキュルケの様子に目を細めると、気付かれないように、そっとタバサに目を向ける。
無口なのはいつもと変わらないが、かなり気落ちしている様子が伺える。
タバサは他の学生達とは違いすぎた。身に纏う雰囲気。凍った瞳。変わらない表情。その姿は、元の世界の戦場でよく見かけた子供の姿によく似ていた。だから、たまにいなくなって帰ってきたタバサから、戦いの残滓のようなものを感じることには、早い段階で気付いていた。
しかし……士郎はその理由を問うことはしなかった。
それは……何故だ
貴族の事情だと思ったからか?
助けを求めていないからか?
もう、決めてしまった目をしているからか?
ルイズの使い魔だからか?
…………違う
……ただ、怖いだけだ
……助けた結果
……助けたと思った結果
――――――絶対に許さない――――――
……似ているからか
「シロウ?」
黙り込んでしまった士郎に、キュルケが心配気に声をかけた。ルイズ達も労わるように、士郎の身体に触れる。そんな周りの様子を見て、気を取り直すように、士郎は軽く頭を振る。
「いや、何でもない。ふぅ……なら、もう大丈夫だな」
「どう言うこと?」
「水位の上昇については、俺が既に解決している」
「う――」
「本当?」
キュルケの驚きの声を遮るように、今まで黙り込んでいたタバサが膝から顔を上げる。無表情であるが、その凍った蒼い瞳の中に、どこか縋るような感情が見えた気がした。そんなタバサに優しく笑い掛け、士郎は頷く。
「ああ。水位の上昇の理由は、盗まれた水の精霊の秘宝を探しているということだ」
「秘宝?」
「そう、『アンドバリ』と呼ばれる指輪だ」
「……『アンドバリ』」
「そうだ。それを探しているらしくてな。だから俺が代わりに探
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