第四章 誓約の水精霊
第七話 誓い
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故急に現れる? 水の精霊とは、頻繁に姿を現すものなのか?」
「い、いいえ。滅多に姿を現さないはずなんだけど……」
訝しげにモンモランシーが顔を顰めていると、水の精霊だと言われた水の塊は、段々と人の形に近づいていった。四肢と顔が出来ると、さらに段々と詳細が細かく整えられていく。
頭から長い髪が伸びる。
細っそりとした腰が出来る。
スラリとした足が伸びる。
高い鼻梁。
柔らかそうな頬。
優しげな瞳。
不定形のスライムは、瞬く間に極上の美女に姿を変えた。
「……これは」
「……きれい」
「……すごい」
「……へぇ」
「……ほぇ〜」
その余りの美しさに、その場にいた者の口から感嘆の声が漏れる。
水の精霊に慣れていたモンモランシーが、いち早く我に帰ると、馬車から飛び降り、水辺に駆け寄っていく。水際まで駆け寄ると、モンモランシーはポケットから針を取り出す。そして、その針で手の指を軽く刺し、ぷくりと出た赤い血の球を湖に落した。
士郎達が見守る中、モンモランシーは魔法を唱え、指の怪我を治すと、水の精霊に顔を向け声をかける。
「水の精霊よ。わたしはモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシ。旧き盟約の一員である水の使い手です」
「……覚えている。単なる者よ」
「はあ、よかった。えっと、ここで会ったのも何かの縁だし。ちょっとお願いがあるんだけど……その、少しだけでいいの、あなたの一部を分けてくれないかしら」
「一部?」
次に声を上げたのは、水の精霊ではなく士郎であった。どう言うことだと士郎が目で問うと、モンモランシーは士郎に顔を向けた。
「そうよ、水の精霊の涙って言われているけど、別に本物の涙って言うわけじゃなくて、精霊の一部のことなのよ」
モンモランシーが士郎に説明していると、唐突に水の精霊が士郎達に声をかけた。
「いいだろう」
「えっ!?」
「……何でモンモランシーが驚くんだ?」
水の精霊がモンモランシーの提案に了承すると、何故かモンモランシーが驚きの声を上げた。驚愕の声を上げるモンモランシーに、怪訝な顔を士郎は向ける。すると、モンモランシーは動揺の抜けきれない顔でごにょごにょと答えた。
「その、水の精霊の涙って、そんなに簡単に分けてくれるものじゃないのよ。長い時は何ヶ月もかかることがあるって言うのに……」
む〜と、唸りながら、モンモランシーが水の精霊を見つめると、水の精霊は士郎に話しかけた。
「その代わり条件がある」
「条件?」
「そうだ。我らに仇なす者達を退治してみせよ」
「仇なす者? それは一体誰のことだ?」
「そこにいる単なる者の同胞のだ」
「メイジのことか?」
「お前達はそう言うな」
「
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