第四章 誓約の水精霊
第七話 誓い
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。ギーシュを元に戻すために必要な水の精霊の涙を手に入れるために、ここに来たということだ」
「そう……。あれ? でも、それってモンモランシーの問題で、士郎には関係ないんじゃないの?」
「あ〜……。まあ、それにはちょっと事情が……」
「何よ? 教えてくれたっていいでしょ」
む〜と、口を尖らせるキュルケに、士郎達は顔を見合わせると、士郎は頬を赤くした顔を向ける。
「そこは、秘密ということで」
「何よそれ?」
翌朝、士郎はラグドリアン湖の辺に立つと、大きな声で水の精霊に呼びかけた。
「水の精霊っ! 聞こえていたら出てきてくれ!」
暫らくすると、士郎の呼びかけに答えるように、水面が盛り上がっていく。そして、昨日と同じように、美しい女性の姿の水の精霊が、水面にその姿を現した。
「襲撃者はもう来ないことを約束しよう。だから、報酬のお前の一部をもらってもいいか」
士郎がそう言うと、水面を滑るように水の精霊が士郎に近づいていき、手を差し出した。訝しげな顔をしながらも、士郎が手を出すと、水の精霊の指先から水滴を数滴垂らしだす。
「これが『水の精霊の涙』か」
後ろにいるモンモランシーが持つ瓶の中に『水の精霊の涙』を入れる。溢れず瓶の中に入ったのを確認した士郎が振り返ると、水の精霊は水底に戻っていく途中であった。
「ありがとうな」
去って行く水の精霊の背中に、士郎が声をかけると、
「待って」
いつの間にか水際に立っていたタバサが、水の精霊を呼び止めていた。初めて見るタバサの行動に、その場にいる全員の目がタバサに向けられる。
「あなたに一つ聞きたい」
「何だ?」
「わたし達はあなたのことを『誓約』の精霊と呼んでいるが、その理由を聞きたい」
「根本的に異なる我とお前達ゆえ、完全に理解は出来ないが、察することは出来る……我はお前達とは違い、姿形は変われど、我は我のまま変わらずここにいる。だからお前達は、永き時の流れの中でも、変わらずにいる我と同じように変わらぬ何かを願ったのだろう」
水の精霊が話し終えると、タバサは揺らめく水の精霊から顔を逸らし、遠くに見える森に顔を向けた。そして、目を瞑ると、膝を着き、水の精霊に対し手を合わせた。水の精霊に祈りを捧げ始めたタバサの背後に立つと、キュルケは自身の手を、そっとタバサの肩に優しく置いた。
タバサが何かを祈る姿を、士郎はただじっと見つめていた。タバサを見つめる目は、迷うように、何処かゆらゆらと揺らめいているように見える。そんな士郎の傍に、三人の女性がゆっくりと近づいていく。
三人の女性は、そっと士郎の身体に手を触れると、傍にいる者にしか聞こえないほど、小さな声で誓った。
「シロ
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