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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第四十八話 音楽の神様その十

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「それでもです」
「理性があるから」
「あの人は大丈夫です」
「わかりました、じゃあ僕も」
「はい、義和様も勿論」
「理性は備えていないといけないですね」
「左様です、義和様は既に理性を持っておられます」
 僕自身のその心の中にというのだ。
「ですから大丈夫です、しかし持っているものはなくしてしまうこともあります」
「理性にしても」
「そうです、ですから」
「その理性をなくさないようにして」
「日々励まれて下さい」
「わかりました、それじゃあ」
「その様に。それとです」
 畑中さんは僕の返事に微笑んで答えてくれた、そのうえで僕に対してあらためてこうしたことをお話に出してきた。
「今度コンサートがありますが」
「あっ、確か」
「はい、八条学園のコンサートホールで」
「クラシックのコンサートがありましたね」
 こう僕も答えた。
「そういえば」
「オーケストラのものが」
「大学と高校の弦楽部と吹奏楽部のですね」
「それがあります」
「そうでしたね、オーケストラとグラスバンドですか」
「聴かれますか」
「少し待って下さい」
 僕は即答を避けて畑中さんにこう返した。
「曲を見てから決めます」
「左様ですか」
「具体的にどんな音楽が演奏されるのか」
「曲次第ですか」
「賑やか曲を聴きたい気分です」
 畑中さんにこうも答えた。
「夏が暑くなってきたので」
「その暑さを吹き飛ばす様な」
「そうした曲が聴きたい感じです」
「左様ですか、では明日そのコンサートのパンフレットを持って来ます」
「お願い出来ますか」
「はい、学園のコンサートホールに行けばその前に置いていますので」
「あっ、それなら僕が取ってきます」
 学校にあるのだ、それなら僕が取って来た方がよかった。その方が畑中さんに負担をかけることがないからだ。
「そうしますから」
「宜しいですか」
「はい」
 僕は一言で答えた。
「そうさせてもらいます」
「わかりました、では」
「コンサートホールに明日行って来ます」
「そしてですね」
「そのうえで決めます」
 畑中さんに確かな声で答えた。
「曲次第です」
「賑やかな曲があればですね」
「行かせてもらいます」
「チケットを買われて」
「そうそう、チケットを買わないと」
 そうしないとだった、コンサートに行くと決めても。
「コンサートで音楽を聴けないですね」
「そうです」
「まだチケットがあればいいですね」
「行かれることを決めた時に」
「はい、その時にも」
「若し全て売れていれば」
「その時は仕方ないです」
 僕は畑中さんの今の質問には笑って返した。
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