アイングラッド編
紅き剣閃編
Sardonyx―黒・白・紅
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俺もキリトも剣と戦闘用の革コートを徐装した普通の格好だ。2人ともコートの下に着ているシャツは黒色なので、似通った格好だ。
キリトがウィンドウを開いて《ラグーラビットの肉》を実体化させている間、アスナはじーっと俺を凝視していた。
「……なんだよ」
「……レイくんって男だよね」
「……そうだが?」
「なんで……」
うん、まあ言いたいことはわかる。
俺が今着ているTシャツは身体にフィットとまではいかないが、沿うようなラインを出している。軽くて楽なので、現実ではもちろん、こっちに来てからもよく着ているタイプのものなのだが、この姿を見た人(特に女性)は口を揃えて言うのだ。
「なんでそんなスタイルいいの!?」
「知らんわ」
幼少の頃から鍛え上げた身体。世の中に溶け込むために過度に筋肉を付けない特殊な鍛え方をし、体格を変えずに余分な筋肉すら削ぎ落とした結果、キャリブレーションの時にどうやら「痩せている」と判断されたらしい。
「ネットゲーマーなんて皮と骨でできたそんなやつばっかさ」
イラッ。
「ほぉう?ではキリトくん。現実に戻った暁には一度手合わせしようじゃないか」
「……遠慮しとく」
そんなやり取りをする俺達をいつしか笑顔で見ていたアスナはキリトから受け取った食材を料理し始める。
肉は煮込みシチューにした。SAOの料理は簡略化されているため、他の付け合わせを作ってもものの5分ほどで豪華な食卓が整えられた。
それぞれ、席につきいただきますを言うのももどかしくスプーンでそのシチューを食べ始める。今まで食べたどんな肉より柔らかく、濃厚な味わいだった。
やがて、きれいに食い尽くされた皿と鍋を前に俺達はふぅー、とため息をついた。
「ああ……今までがんばって生き残ってよかった……」
「そうだな……」
俺は久々に満たされた気持ちで応える。
幾度となく危険な目にあったり、絶体絶命の時もあったが、結果としてなるようになった。
『デスゲームに囚われたプレイヤーを1人でも多く生還させる』
その使命を果たせている実感はない。だから、俺は常に最善であろう選択をしてきた。10を救うために1を捨てた。
100を救うために恨まれ役に甘んじた。
それらの選択が間違っていたのかはわからない。だが、それを考えるのは今ではない。
このような事は経験上難しく考えすぎてドツボにはまる。
「不思議ね……。なんだか、この世界で生まれて今までずっと暮らしてきたみたいな、そんな気がする」
「……俺も最近、あっちの世界をまるで思い出さない日がある。俺だけじゃないな……この頃はクリアだ脱出だって血眼になるやつが少なくなった」
「……馴染んで来ているんだな。この世界に」
「そうね。攻略のペースも落
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