第1章:平穏にさよなら
第9話「お見舞い」
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その行動も、私はどうだった?まるで現実の問題として見ていなかったのか?
「....それで、いいじゃないでしょうか。」
「....えっ?」
彼女にそう言われて、間の抜けた声を返してしまう。
「“感情の赴くまま”...つまり、“原作”の知識に関係なく、自分のやりたい事を行ったという事ですよね?....それでいいじゃないですか。」
「あ......。」
今までの行動はどうだったのか。現実として捉えていなかったのか。
....捉えていたんだ。自分の思うがままに、目の前で困っている人がいて、それを私が助けたいと思って。きっと、“原作”を知らなくても、私はそうしていたのだろう。“聖奈司”と言う人物が持つ、元々の優しさで。
思えば、“原作”の事件の最中は、一切“原作”の事なんて考えてなかった。哀しそうなフェイトちゃんを助けたい。悲劇で狂ったプレシアさんを助けたい。闇の書の呪いに蝕まれるはやてちゃんや守護騎士の人たちをなんとかしたい。...それらは全て、“原作”からの感情じゃなかった。私自身の、本心からの想いだった。
「.....そう、だったんだ...。」
「聖奈さんは、ちゃんとこの世界を現実として捉えていましたよ。私は、そう信じます。」
志導さんにそう言われて、目頭が熱くなる。心が救われた。そんな感じがした。
「...良かった...!私、ちゃんと現実を見れていたんだ....!本当に、良かった...!」
もしなのはちゃん達の事を、アニメの人物として捉えていたらと思うと、背筋が凍った。言いようのない罪悪感と言うか、後悔とかそう言う類のモノに押しつぶされるかと思ってしまった。
「もう...そんな泣かないでくださいよ。」
「ふえっ?な、泣いてなんか...。」
「ほら、いつも学校で見せてるような笑顔や優しさを見せてください。聖奈さんらしくありませんよ。」
そう言って涙が伝う私の頬を彼女はハンカチで拭いてくれた。
...涙脆いなぁ...私って。
「...ありがとう。もしかしたら、私は誤った道を進んでたかもしれないよ。」
「いえ...何かの助けになったのならこちらこそ嬉しいです。」
...最初はこういう話じゃなかったんだけどなぁ...。ま、いっか。
「あ、志導さん。私の事は名前で呼んでもいいよ?」
「そうですか?...だったら、私も名前でいいです。お兄ちゃんと被るので。」
「そっか。」
志導さん改め、緋雪ちゃんの言葉に甘える。...あ、緋雪ちゃんに名前で呼んでもらえるなら、志導君にも呼んでもいいように言っておかないと、不公平だね。
「あ、でもお兄ちゃんはそう簡単に渡しませんからね?」
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