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SAO−銀ノ月−
第八十六話
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 芝居がかった口調でその吊された男は話しかけてくると、その間に俺はAA−12の弾倉を入れ替える。装甲車に撃ちきった《FRAG-12》の弾倉を捨て、通常の弾丸が入った弾倉に入れ替えると、サティと名乗った吊られた男に向ける。

「オッケー、いい返答だ。ならば――」

 名前を名乗りあう以上の時間を待つ気はない。ビルから吊られているサティが何かを言おうとする前に、AA−12が空中にいるサティに向けて火を噴いた。フルオートでの発射ではない、予測線もつく牽制程度の適当な射撃だが、アンカーに吊られたサティはどう避けるのか。

「その行動はオッケーじゃないなぁ!」

 サティ自身を吊っていたアンカーは伸縮自在らしく、急速でアンカーを巻いていくことで牽制の射撃を避けるが、そのまま俺は追撃を続けていく。AA−12のような散弾銃は何かと射程の短いイメージがあるが、地上から小さいビルの屋上くらいならば、全くもって問題ないほどだ。

「――そこで見本を見せてあげよう!」

 サティを追いすがるAA−12の弾幕の前に、サティは何を思ったかアンカーを解除する。ビルから吊されなくなったサティは、当然の如く地上に落下していくが、その前に再びアンカーを違うビルに発射する。

「オッケー!」

 ……そう、それはまるでかのスパイダーマンの如く。アンカーを操ることにより、サティは自由自在にビル街を飛翔しているも同然だった。

「くっ……」

 アンカーをフル活用して空中を自在に回るサティを、AA−12で撃ち落とそうとするべく連射していたが、無駄弾を撃っているだけと気づいて止める。空中を自在に闊歩する今のサティに、地上から撃つ銃弾などかすりもしない。

「君の攻撃がもうオッケーなら……こっちから行くぞぉ!」

 こちらの銃弾を悠々と避けながら、サティは俺の頭上を取っていく。どんな人間であろうと真上という場所は絶対の死角であり、サティはそれを狙って敵の死角から死角へ……いつも俺がやっている戦術ではあるが、相手にすれば厄介なことこの上ない。こちらも何とかサティがいるこのエリアから逃げようとするが、俺が走るよりもサティが空を駆ける方が早い。

 そして上空からは、サティが手に持った拳銃――S&W M945と呼ばれる、照準精度が高い銃――から放たれる弾丸が、俺の視界の外から放たれる。せめて視界に捉えることが出来なくては、弾道予測線を表示させることが出来ない。銃声に反応しながら何とか銃弾を視界に捉えながら、表示させた弾道予測線を頼りに銃弾を避けていくと――

 ――サティの姿がない。

「ちょぉぉぉうオッケーぇぇぇぇ!」

 突如として横から蹴りが飛んでくると、俺の側頭部に直撃する。いつの間にかアンカーを伸ばして地上に近づき、ターザンの要
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