第六十三話
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「鍛冶スキル持ちのプレイヤーと知り合ったのか?」
「まあね、この防具、見た目はアレだけど、性能は中々だよ」
軽い、丈夫、動きやすいと来て、何で見た目だけ…
いや、かっこいいけどさ?なんて言うか厨二感が否めない…
「何、紹介して欲しいの?」
「あ、ああ。やっぱり分かるか」
分からいでか。
「だけど、クラインは以前ネカマに対して排他的だったような気がしたが?」
「何だ?ネカマなのか?今も…その、スカート穿いてたり?」
「しない。服装は至って普通。…彼らは頑張ったんだろうな」
「そ…そうか…」
声が小さくなるクライン。
どこか良心が痛むのだろう。
「確かに、オレもあの時はその…見捨てたと言われてもしょうがない事をしたと思う。…だけどよぉ、あの時はオレらも必死だったしな…いや、それは言い訳にもならねぇな。あの当時でもしてやれた事はいっぱいあったはずだ…」
そうかもしれない。しかし、それを言ったら俺だって彼らを見捨てている。
生きることに必死な事は悪いことじゃない。
自分のことが精一杯な時は他者を気遣う余裕など無い。
しかし、その結果取りこぼされる人たちが居ることも事実。
それを受け入れることが出来るか出来ないか。それとも見ない様にするかが違うだけ。
「過去のことは良いんじゃない?」
「そ、そうか?…だがっ」
「いいんだよ。それで?その人…と言うか、そのギルドだけど、殆ど元ネカマだね。彼らも結構頑張っているよ。ボリュームゾーンのプレイヤーより頭一つ分はレベルが高いんじゃないか?」
「それは…凄いな」
「偏見さえなければ紹介しても良いよ。情熱が偶に変な風に現れるやつらだけど、付き合っていて嫌な気は起きないから不思議だ」
社交的なオタクと言えば分かるだろうか。
その後、色々な注意点を話すと、その全てに了承したのを確認して、その日のスキル上げが終わるとクラインを連れて十八層主街区へと向かう。
転移ポータルから歩くこと五分。裏道にひっそりと佇む一軒の武器屋。
その外見は手入れがされているとは言えず、日中でも薄暗い小道と相まっておどろおどろしく、知らなければプレイヤーでも絶対に入ってこないだろうと言う所に有った。
「ここか?」
「まね」
クラインを連れて扉を潜る。
中に入るとヴィータがこちらに気が付いたようで俺に声を掛けた。
「獅子座さんか、こんばんは」
こいつは何度言っても俺を獅子座さんと言いやがる。
悪意は無いのが更にたちが悪い。
「こんばんは。それでな、メールで話した件なんだが」
クラインを連れて行くと事前にメールをしておいた。こう言う事は事前に連絡を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ