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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 10.
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は察知しているに違いない。次元の歪みが正されたのであれば、安全宣言に備えた措置として、確認の任務を帯びた機体が2〜3機は発進しているものと思われる。
 あと数分。クロウがアイムを引き留める事ができれば、これから合流する仲間達と共に、アイム確保に向けた包囲網を敷く事も夢ではない。
 再実験の妨害と実験なるものの全容把握が、アイムの身柄を確保する事で一気に近づく。仲間達の迅速な行動を信じ、ここは一つ引き留めにかからなければ。
「私を捕らえるつもりですか? 今は、全く逆の立場だというのに」
「あ…」
 思考の一部でも漏れ伝わってしまったのだろう。クロウの野望は、一瞬でアイムの知るところとなってしまった。多くの敵の中で最も嫌悪している相手に筒抜けという理不尽を、どうにかする方法はないものだろうか。
 ふと体が軽くなる。アイムが、クロウから離れたのだ。
 建物全体で照明が点灯する。屋外で、上空で、視認に向けた準備が着々と進んでいるようだ。
 咄嗟に目を細めるアイムだが、クロウも突然の明るさに行動の機会を奪われてしまう。目が慣れるまで、立っている者と俯せの者は互いに動く事一つできなかった。
「確かに、そろそろ引き時のようですね」
 クロウから数歩下がったところで、目を細めたアイムが床の方へと視線を逃がす。
 と、その表情が大きく歪んだ。
 紳士からかけ離れた激しい表情は、クロウの足下をじっと睨みつけている。
 倒れた鉢植えに何が、とクロウは上体を起こし、付近の鉢植えだけは行儀良くベンチの横に並んだまま立っている事を知る。しかし、アイムは何かに釘付けで、クロウの疑念を大いに誘った。
「クロウ・ブルースト」見下ろすアイムが、怒気を殺さぬままクロウの方へと顔を向け直す。「どうやら、つまらぬ邪魔者があなたと私の関係に興味を持ったようですね」
「はぁ…?」
「もし、あなたにつきまとう者がいるのなら、仲間ではなく私を頼りなさい」
 クロウは立ち上がりながら、むっとしたものをぶつけにかかる。
「また、頭がどうにかなったのか? つきまとっているのは、今俺の前にいる奴だろ。ったく毎度毎度、ある事ない事並べたてやがって!!」
「ならば私は、私のやり方であなたの邪魔をしましょう。状況を理解し、私を頼りたくなるまで」
「そんな御託をいちいち聞いてられるか!?」クロウも、いい加減腹が立ってきた。「インペリウムの実験とやらは、俺が徹底的にぶっ潰す! 俺もZEXISも以前とは違う!! 言いたい事はそれだけだ」
「おや、折角の忠告だというのに。残念です」
 握った拳がクロウの懐から放たれるより早く、アイムは奥へと下がった。相手は反撃する様子がなく、クロウの拳でいつもの自分を取り戻したようにさえ見える。
「それでは、またお会いしましょう」
 敵の白い顔が視
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