Fate/stay night
1113話
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君は私の家で同居してますから。一緒に登校するのは、そんなにおかしくないと思いますが?」
「そうかい?」
「ええ」
うふふ。おほほ。そんな風に笑い声を上げながら会話を交わす凛と美綴だが、その背に竜と虎のイメージが浮かんだのは俺だけじゃないだろう。
頼む、止めてくれ。
そんな視線がクラス中から俺の方へと向けられる。
いや、気持ちは分からなくもないんだけどな。俺だって火中の栗を拾うのは御免被る。
それに俺がわざわざどうにかする必要もない。なぜなら……
「うん? どうした2人共。HRだぞ、席に着け」
担任の葛木が姿を現した為だ。
葛木の登場によって、2人の静かなる争いは自然と鎮火する。
その後は特に何がある訳でもなく授業が進む。まぁ、休み時間の度に凛との件を聞かれるのは参ったが。
特に男共からの嫉妬の視線が痛い。
分からないでもないけどな。
凛は学校でまさに高嶺の花、アイドルといった感じであり、俺はそんな凛と同居――嫉妬の視線を向けてくる奴等にしてみれば同棲――しているのだから。
更にそれだけではない。美綴も当然ながらその凛とした雰囲気と整った顔立ちから男女問わず人気がある。
そんな美綴とも凛経由でそれなりに仲のいい俺は、正に格好の嫉妬の的だろう。
ともあれ、そんな風に時間が経過して放課後。
「さて……どうなると思う?」
「どうかしらね。少しでも危機感があれば真っ先に帰るでしょうけど……」
冬の夕日が校舎内を照らす中、結界の起点を潰しながら、俺と凛は2人で廊下を歩く。
こう表現すると何だか青春っぽい感じがするけど、実際に俺達がこれから行うのは聖杯戦争の殺し合い。とても青春なんて甘酢っぱいものではない。
「凛としてはどっちがいいんだ?」
「勿論残っていてくれた方がいいわよ? そうすれば造作もなく1人脱落だもの。……ほらね?」
階段の下にいた存在に視線を向け、まるでネズミを見つけた猫の如く笑みを浮かべる。
いや、実際に猫が笑みを浮かべるかどうかってのは分からないけどな。
「ああ、遠坂。アークも。こんな時間にどうしたんだ? まだ学校に何か用があったのか?」
呑気に尋ねてくる衛宮だったが、その表情には危機感の1つも浮かんではいない。
うん、確かに色々な意味で愉快な男だな。
「……ねぇ、衛宮君。次に会った時は私と貴方は敵同士。確かそう言っておいたわよね? 覚えてる?」
「ああ、勿論覚えてるぞ。けど、聖杯戦争ってのは人目につかないように夜に行われるんだろ? ならこうして俺達が話していてもいいんじゃないか?」
「1つ聞きたいけど、いいかしら? 今、この場には私とアークエネミーと衛宮君。この3人しかいないの。その辺はどう思う?」
「……え?
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