Fate/stay night
番外編048話 凛の夢 4話
[8]前話 [2]次話
自分が何を経験しているのか。
それはすぐに分かった。
同時に、自分でも分かる程に頬が赤くなる。
ここがアークエネミーの夢であるというのを理解していた為だ。
何故夢だと分かって頬が赤くなるのかと言えば、当然ここ2回程見た夢が男と女の濡れ場だった為だろう。
凛は魔術師ではあるが乙女でもある。
友人と、どちらが先に恋人を作るのかと競争するくらいには。
そんな乙女の凛にとって、アークエネミーの情事というのは些か以上に刺激的過ぎた。
いつもであれば朝起きた時は殆ど頭が働かないのだが、夢を見た日に限ってはアークエネミーの顔を見た瞬間に勝手に頬が赤くなる。
「ちょっと……今度はどんな18禁シーンなのよ。……うん?」
そこまで呟き、周囲を見回し、首を傾げる。
これまでの2回は両方ともベッドのある部屋だった。
だが、今凛の目の前にあるのは……
「お店?」
首を傾げる。
それも、中華風のお店だ。
そこにいる人は、大勢が笑みを浮かべて料理を食べているのが分かる。
自分よりも年上のように見えて――特に胸が、胸が。胸が!――鈴の髪飾りをしている、ツインテールのチャイナドレスを着た女性のウェイトレスが、店の中を忙しそうに移動しては食事を配っていく。
チャイナドレスのスリットから見える肉感的な太股も気になったが、凛とて胸はともかく足には自信があった。
そんな風に考えながら、テーブルに配られていく料理へと視線を向ける。
そこは麻婆度府や青椒肉絲、回鍋肉といったような典型的な中華料理の数々。
他にも肉まん、チャーハン、五目焼きそばといった諸々もあり……そのどれもが、見ただけで一流の味だと分かるだろう料理。
「○○○○○○○○○○、○○○○。○○○○?」
何を言っているのか分からなかったが、それでも聞き覚えのある声。
その声に振り向くと、そこにいたのは予想通りにアークエネミーの姿。
ただし、年齢的には凛の知っている今の状態よりも5歳、あるいは6歳は上か。
笑みを浮かべ、美味しそうに料理を食べているその姿に、凛は中華料理の作り手として負けていられないと思いつつ……夢が覚めていくのを感じ取っていた。
「見てなさい、この料理よりも美味しいって言わせてみせるんだから」
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ