三十八話:事情聴取と日常
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りの証拠だ」
この少年は少し特殊らしい。
二重人格という病気ではなく完全に別人の人格が入り込んでいるというのだ。
洗脳ならば無罪と言わなくとも短い間の保護観察で終わるだろう。
しかし、洗脳でないのは既に検査して分かっている。
医学が専門でないスバルにはこれ以上検査はできない。
だが、勘で完全に二人は別人だと確信していた。故に悩む。
別人が自分の体を使って犯罪を犯した。しかも正当防衛になるかならないかの瀬戸際で。
もしかしたら二重人格の可能性もある。様々な要因が重なり合っている。
はっきり言ってスバルはそんな前例など知らない。
故にどうすればいいのか決めかねているのだ。
「リヒテン・V・ノルマン。それがこやつの栄えある名前よ」
(やめろ! 俺の十四歳の時の傷口をほじくり返すな! あの時、ご先祖様にカッコイイ名前をくれと言ったのは軽い気持ちだったんだ!)
「王から名を承ることは名誉だ。喜ぶことはあっても恥じることは無い」
「……中二病やったんやね、リヒター」
(恨む……恨むぞ、ご先祖様…ッ)
怨嗟の声を上げるリヒターに生暖かい目を向けるジークとスバル。
もしこの場にエルスが居れば身悶えていたかもしれないが今は関係ないだろう。
それよりも本当にベルカ諸王の末裔であるのならば慎重に事を運ばなければならない。
一般の病院では手に負えるとは思えない。そもそも記憶の継承ですら解明が進んでいないのにそこに人格の継承ときた。
ハッキリ言って普通の医者にはお手上げだろう。
それに信用できる医者でなければ危険にさらされる恐れもある。
おまけに―――
「……なんか、リヒターの魔力量増えてない? 前は大して感じられんかったのに今は傍におるだけで感じられるんやけど」
「その通りだ、エレミアの小娘。我の覚醒と共に増えたのだ」
(そうなのか? という事は俺も飛行魔法とかを使えるようになるのか?)
「魔力量はともかく適正は実際にやってみんことには分からんものよ」
(そうか。だが、楽しみではあるな)
リンカーコアにまで変化が表れているらしい。
信用に値し、リンカーコアについて詳しく、古代ベルカに明るい。
そんな人物、しかも医者などそう簡単にいるものではないが幸運なことにスバルには心当たりがあった。
デバイスを取り出し連絡を入れる。すると目当ての人物は直ぐに出てくれた。
『あら、スバルどうしたのかしら?』
「すいません、シャマル先生。診ていただきたい人が居るんですけど―――」
(俺は病気じゃない! だからお薬なんていらないんだ!)
かつて病気を疑われたことが若干トラウマになっているのか泣きそうな声で叫ぶリヒターに少し驚きながらもスバルは冷静
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