三十八話:事情聴取と日常
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隠したいものがあるんやね? なんや、男のロマンのつまった本かいな?」
(黙秘権を主張する)
「我が居れば何の意味もないがな」
(この人でなし!)
「くくく、聞き飽きた台詞よのう」
小気味の良いテンポで話を続けていく二人(?)にジークとスバルは苦笑いを浮かべる。
良い関係を築けているのが傍からでも分かる二人だった。
(帰ったら確認せなあかんよね)
もっともジークはそんな事で先程の情報を忘れる事などないのだが。
「えっと、いいかな?」
「む、我としたことがすまぬな。して、何を聞きたい」
「まずは、どうして人を斬ったりなんてしたのかかな」
「剣を向けられたから斬ったまでだ。我とて武器を持たぬ民を斬る趣味は無い」
(俺が突き刺される寸前にご先祖様と入れ替わってそのままなんです。ご先祖様もナイフ奪ってそれで終わればいいものを)
「剣を向けられたら剣で返すのが騎士の礼儀よ」
一切の悪びれの無い態度にスバルはどうしたものかと悩む。
目撃証言からも最初にナイフを向けたのは犯人なのは証明されている。
故に相手に攻撃するのは正当防衛として成り立つ。
しかし、今回のはやり過ぎなのだ。完全に致命傷を与えてしまった。
しかも明確に斬ると決めて斬ったのだ。過剰防衛に当たる可能性がある。
刺される直前でナイフを奪い取りそれで刺した。つまり相手を無力化してから斬ったのだ。
これが、気が動転していたのなら話は難しくならないのだが、彼(彼女)は冷静に状況を見極めたうえで斬ったのだ。
やむをえない状況ではなく、やむを得る状況だったのだ。
これでは過剰防衛となってしまう。いや、それだけなら話はまだ簡単なのだ。
(ところでスバルさん。あの人は大丈夫なんでしょうか?)
「あ、うん。今は命の心配はないみたいだよ」
(そうですか、良かった)
「汝が死んでいたやもしれんというのに暢気な奴よのう」
(あんたは物騒過ぎるんだ、ご先祖様)
この状態、二重人格とも呼べる状態がネックなのだ。
別の人格が犯した犯罪というものはその人格に責任能力があれば適応される。
勿論本当に二重人格かどうか、責任能力があるかどうかは医者に診断を受けなければ分からない。
そうと決まれば、まず診断を受けるのが先なのだが……。
「もう一つ聞きたいんだけど、ご先祖さまっていうのはどういう事なのかな?」
(そのままの意味です。ベルカの記憶継承の技術をいじって記憶と一緒に人格も引き継がせたみたいです。そこの馬鹿が)
「少しは敬え小僧。まあ、シュトゥラの技術の真似だけでは味気がなかったからな」
「……え? ちょい待って。それってリヒターもベルカ時代の後継者ってこと?」
「如何にも。我がここにこうしていることが何よ
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