第六話「絶対神速」
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ISは、地上戦用の非飛行タイプ』と、伝えておいておりますので……」
「それじゃあ、ダメだ。俺は、セシリアと対等で戦いたいんだ」
俺は、そう自分の信念を弥生に言った。
「男として、ハンデは必要なく戦いに挑みたい……」
「鎖火さん……」
そんな俺を、弥生は見つめた。
「よし! まだまだやるぞ? 天空侍さん、もう少しつき合ってもらえますか?」
「はい、よろこんで!」
だが、結局その時間に飛行することはできずに終わった。
――結局、空を飛べることができずに終わった。俺に、いったい何が足りなんだ……?
悩みながら、俺は学園の廊下を歩いていた。しかし、そこで一人の生徒と違った途端、その生徒が振り向いて、叫ぶかのように声をかけた。
「ちょっと! アンタ!?」
「!?」
聞き覚えのある声に俺は振り向いた。そこには、懐かしみのある顔が俺を睨み付けている。妹の舞香だった。その様子だと、おそらく無事に学園生活をおくっているようだ……
「舞香?」
「随分と、偉そうにしているわね? IS学園で堂々と歩いていて、そんなに嬉しいの?」
何やら、馬鹿にしているようだが、いつものことだと俺は気にしない。
「……で、親父とお袋は元気にしているか?」
「はぁ? アンタ、勘当されたんだから家族もなにもないでしょ?」
「元気にしているのか? それともどうなんだ?」
俺はキッパリと問うと、舞香は溜息交じりに答えた。
「元気よ? IS委員会の人たちが、前もって保護してくれたから。どっかの犯罪者の元家族って言われながら生活するのだけは逃れられたわね?」
「……」
ムッとなるが、一様ニュースで報道されたんだ。否定はできない。
「そうか……皆、元気ならそれでよかった」
「アンタには関係ないでしょ!?」
「あー、そう?」
「フン……」
「じゃ」
そう言うと、俺は舞香を通りこした。しかし、
「待ちなさいよ?」
「ん?」
呼び止める舞香は、最後にこう言う。
「アンタ……イギリスの代表候補生とやるんでしょ?」
「それが?」
「今すぐ辞退して」
「やだ」
「辞退して!」
「お前にその権利があるのか?」
「ないにしろ、アンタの『元妹』って、知られたくないの!」
「……だったら、ひたすら誤魔化し続ければいいよ?」
「出来るわけないでしょ!? いずれは、バレちゃうんだから……」
「舞香」
俺は力強い口調で彼女に視線を向けさせる。
「……誰が何て言おうが、俺はやる」
「糞兄貴!!」
そういうと、舞香は駆け出していった。俺は追わなかったが、彼女の背を見えなくなるまで見つめ続けていた。
「俺の……せいか?」
――いや、違う。彼女が哀れなだけだ……
「家族も、哀れなのかな……」
――そうだ。家族もみな哀れな人間の集いだ。
「……勝っ
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