第六話「絶対神速」
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をほじくってみると……なんとなくだが、小学校の低学年に姉の紹介で剣道を習い始めた思い出がある。その時、何かあると竹刀で叩いてきたり、怒鳴ってきたりして、意地悪ばかりしてきた同い年の子がいたような……?
「……あ! あのときの虐めっ子!?」
と、思いだしたかのように一夏は、彼女に向けてビシッと指を向けた。
「い、虐めっ子!? お前、女だったのか!?」
思わぬことを言われた少女は、目を丸くした。
「失礼な! 貴様は今まで男だと思っていたのか!?」
顔を真っ赤にして怒りだす彼女に、一夏は続けた。
「あの時……剣道で、先輩風吹かしながら俺だけを中心に虐めていたあの子か? お前」
「べ、別に、虐めていたわけではない!!」
「まぁ、別に過ぎたことはいいや? で、久しぶりだな? 何年ぶりだろ……」
何はともあれ、ようやく思いだしてくれたことに頬を赤くしながらニッコリ微笑む少女はホッと胸をなでおろす。
「それで……俺に何か用か?」
「べ、別に……久しぶりに再会したから……お、お前こそ! 何かしゃべったらどうだ? 一夏」
「え、ああ……そうだな? えっと……ゴメン、名前なんだっけ?」
「え?」
少女は、またもや目を丸くした。
「だってさ? もう随分昔なんだし……」
「篠ノ之箒だ!!」
またもや、彼女の怒号があがった。
「おっと、悪い……」
一夏は、この少女こと篠ノ之箒としばらくギクシャクした気まずい会話を続けた。
――早く終わらないか?
十分間の休憩が長く感じたのは初めてであった……
*
「……ま、そういうわけです」
「へぇ? そりゃあ災難だったね?」
そうですよ? だって、昔の虐めっ子と会っちゃったんですから……
――本当に、虐めっ子かな?
だったら、わざわざ二人きりになる必要はないんじゃないのか? そう思うが、一夏にとっては苦手な相手だったからそう思わなかったのだろう。
「まぁ、次からは絡まれても刺激させないようにしろ?」
「狼さん……これから三年間は、ずっと離れないで傍にいてくださいよ?」
「よ、よせよ?」
「とりあえず、今は狼さんだけが俺の希望なんですから、どんな時でも裏切らないでくださいね!?」
そうアップで真剣に言われると、流石に俺も頷くよりほかなかった。
「う、うん……」
IS学園の寮は、まるで高級ホテルのようだった。あちらこちらにオシャレな灯りが通路を照らし、さらには部屋にもパソコンやテレビなど、十分すぎるほどの設備が整えられていた。
「俺たち……どっかの高級ホテルと間違えたんじゃないんですか?」
一夏は想像以上の部屋を見渡して目を見開いた。
「なんだか……余分に金を使ってるって感じだな?」
近くのふんわりしたベッドに腰を下ろして、俺は贅沢すぎる設備に溜息を漏らした。
――俺たちの
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