暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生の水族館
第四幕その三
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「物凄く大人しい平和な生きものだったんだ」
「そう書いてあるね」
「凄く大人しくて平和な性格だったって」
「群れの仲間を見捨てないで」
「戦うことも逃げることも知らない」
「そうした生きものだったんだね」
「そうだったんだ、そしてそのせいでね」
 ここでまた皆にお話した先生でした。
「乱獲されて」
「絶滅した」
「そう書いてあるね」
「そうした性格だったからこそね」
「かえって」
「ステラーカイギュウはずっと北極海の方にいてね」
 壁の説明文にはベーリング海峡と書いてあり地図もそこにあります。丁度アラスカとユーラシア大陸の境の辺りです。
「人を見たこともなかったからね」
「それで天敵もいなかったんだね」
「ステラーカイギュウのいた場所には」
「そうだったんだ、人に対する警戒心もなくて身を守る術も知らなかったんだ」
「ええと、海の底にだね」
 ポリネシアが説明文を読みつつ述べます。
「行くしかなかったんだ」
「そうだよ、そして仲間を庇うけれど」
「庇うだけだったんだね」
「だからどんどん捕まったんだ」
「こっちの生きものもだよね」
 チーチーはステラーカイギュウの隣の生きものの説明も読みました、そこにはペンギンそっくりの鳥の剥製もあります。
「オオウミガラスだね」
「その鳥も人を怖がらなかったんだ」
「だからかえってなんだ」
「すぐにね」
 捕まったりして、とです。先生はとても悲しいお顔で説明しました。
「そうしていなくなってしまったんだ」
「そうなんだね」
「人間は先生みたいな人もいるけれど」 
 それでもとです、老馬が言うことは。
「悪い人もいるからね」
「うん、何もわかっていない人もね」
「そうした人が来たら」
 老馬が言うには。
「僕だったら思いきり後ろ足で蹴飛ばすけれどね」
「大抵僕が吠えたりするね」
「そうそう、僕が上から襲う仕草をしたりして」
 ジップとトートーが言います。
「追っ払ってるよね」
「時には実力行使もするけれど」
「ステラーカイギュウやオオウミガラスは何もわかっていない人達のせいでね」
「いなくなったんだね」
「この地球から」
「ステラーカイギュウはまだいるって話もあるけれど」
 それでもというのです。
「そうなってしまったんだよ」
「というかこれだけ大きくて戦うことを知らなかったのね」
 ダブダブは自分から見ると本当にとてつもなく大きなステラーカイギュウの説明を読みながら思うのでした。
「逃げることも」
「隠れる位しかね」
「そんな生きものもいたのね」
「僕だって悪い奴が来たら何かするよ」
「そうしないとね」
 ガブガブとホワイティも言います。
「危ないから」
「先生と一緒にね」
「むしろそれまで発見されなか
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ