月下に咲く薔薇 9.
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による現実的な線引きをしている事を名言した。『次元の歪みはそこに実在し、ライノダモンも出現しかけている。確かにこれは、由々しき事態よ。だけど、永遠にここに張りつく事はできないの。おそらくはその間にもインベーダーやヘテロダイン、獣人や機械獣の襲撃が世界各地で発生し、私達の対応が求められる。今から24時間が経過してもライノダモンの全身が現れないその時は、歪みは安定していると判断し、その後の監視を大塚長官指揮下の部隊に引き継いでもらいましょう。私達ZEXISは、一旦この件から手を引きます』
一瞬、小さなざわめきが起きた。
「話はわかるんだけど、何か納得しずらいな」こういった結論に食いつくのは、大抵が赤木だ。「相手はライノダモンじゃないか。もし全身が出たら、半端な戦力じゃ太刀打ちできないだろう。バトルキャンプはすぐ近くで、俺達は24時間後もそこにいるかもしれないっていうのに」
「バトルキャンプが近いから、大塚長官に任せるんだ」例によって、冷静な青山が赤木の感情論を崩しにかかる。「24時間後もそこにいるかもしれない? いないかもしれないじゃないか。もし24時間経った後に暴れ出したとしたら、その時動けばいい。そもそもZEXISは、対処療法を優先する為に破格の戦闘力を持つ事が許されてるんだ。この24時間は、言わば例外なんだよ」
「まぁ、それはそうなんだろうけど…」
語気の弱まった赤木に、「心配ないよ」と斗牙が邪気のない笑顔を向ける。流石は天然、空気を変える魔術を誰よりも上手く使う。
「24時間後の事は、その時考えよう。監視は始めたばかりなんだし。ね、赤木さん」そしてその微笑みは、青山にも送られた。「ね」
「あ…、ああ」
青山と赤木は顔を見合わせ、尤もな言い分だと静かに鞘に収める。
『皆の気持ちはわからんでもない』赤木達の衝突を受けてか、ジェフリーが先程よりも穏やかな口調で再び話し始める。『24時間という期限は必要な措置だが、歪みが拡大、或いは消滅する時はいずれ必ず来る。与えられた時間を最大限に生かし、探してみようではないか。我々に、何ができるのかを』
「はい」
ようやく全員が承諾し、丸1日という長い上空からの監視が始まった。
「おっ。地上じゃ、投光器の準備を始めてるぞ」
監視映像を流し見ているエイジが、ジュースを飲みながら地上の変化に反応する。
冬の日照時間は短い。日没前に終えてしまうつもりなのだろう。大型のトラックが次々とショッピング・モールの横につけられ、投光器と付随する機械類が下ろされてゆく。
早いもので、日は西に傾きつつあった。映像にある作業風景も次第に長い影を帯びるようになって、その影は次第に本数を増やしてゆく。
コップの水に口をつけながらぼんやりと映像を見守っていたクロウは、ロックオンや刹那達の服装に気づいて「ず
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