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月下に咲く薔薇
月下に咲く薔薇 9.
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しても。
 メサイアが着地すると、すぐにキャノピーが開く。
「後ろの定員は1人。他に、左右の手に1人づつだ」
 アルトの仕種は、手招き一つとってもどこか優雅で美しい。
 オズマも、声を張り上げた。キャノピーが開いた途端、「俺の機体に、大山女史。アルト機には中原。ルカ機には谷川に乗ってもらう。他のメンバーは全員パイロットだ。丁寧にやるから、掌空輸に当たった者は少しの間だけ我慢してくれ」と洒落た物言いで仲間達を和ませる。
 勿論、非戦闘員への配慮に全員異論はない。メサイアの掌ステップを昇り21世紀警備保障の女性達3人が後席に落ち着くと、オズマ達は引き続きキャノピーを解放したまま、左右の手に1人づつ収まる様子を最後まで見届けた。
「痛くはないですか? お姉様」と気遣いながら右手でクランを、左手ではミシェルを持ち上げるネネも、素顔を晒し慎重そのものだ。
 人数的に全員を一度に運ぶのは無理なので、いぶき、ミヅキ、リィル、琉菜、エィナ、ロジャー、更にはソレスタルビーイングの4人とクロウがその場に残り、メサイアのキャノピーが全て閉まるところを地上から見届ける。
「それじゃあ、マクロス・クォーターで会いましょう」
 一時の別れを告げるキラの声。それを合図にするかのように、まずオズマ機がやんわりと上昇を始める。そして、アルト機、ルカ機、ネネとララミアのクァドラン・レアが続いた。
「流石ね。あれなら、タクシーもやれるんじゃないの?」といういぶきの感想は、最大級の褒め言葉のつもりだ。
 機体と人影が小さくなってゆくと、収容されるまでそう時間はかからない。
 マクロス・クォーターからSMSの機体が再び射出されると、メサイアの数は1機増えていた。先に収容されたミシェルが、愛機と共に収容を手伝う側に回ったからだ。
「今度は、女性を優先的に」とクロウ達を見比べるオズマだが、4機のメサイアに対し残った女性達は5人もいる。
「私よりも、いぶき様、ミヅキ様、琉菜様、リィル様を優先して下さい」
 エィナは一歩下がってはっきりと固辞をし、他の4人にコクピットを勧める。
「じゃあ、エィナちゃんは、俺の機体の右手にどうぞ」ミシェルがガウォークのメサイアにお辞儀をさせ、仰々しくエィナを機体の右手に受け入れた。
「ありがとう、エィナ」
「ありがとう!」
 いぶきやグランナイツの女性達が礼を告げる中、2回目、そして最後の搭乗が終わり、残った者達は全員がメサイアのコクピットか機体の片手に収まった。
 クロウもルカ機の左手に掴まれ、メサイアの推進系が発する音に命を預ける覚悟を決める。ルカ機のコクピットにはリィルがおり、右手には刹那がいた。無表情が多い刹那だが、今の顔には早く愛機に乗りたいとの切実な思いが書いてある。
 信用云々ではなく、仲間とはいえ人の操縦する機体の手に
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