Fate/stay night
1111話
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ているんだよ。幾ら振られたからって、女に掴み掛かるなんて、正気か? みっともないにも程がある? いや、ここまでくれば寧ろ愉快な道化と言うべきか」
「うるさい! 離せ、離せよぉっ!」
こっちを睨み付けてくるワカメ。
その目には、これ以上ない程の憎悪が滲んでいる。
「離したら凛に危害を加えるんだろう? なら、離す筈がないと思わないか?」
ギリリ、と掴んでいるワカメの喉元を掴む手に力を入れていく。
襟元が締まっているのだろう、ワカメの顔が苦しそうに歪められていく。
そのまま数秒。落ちる寸前のところで、突き飛ばすようにして手を離してやる。
地面に尻餅をつき、涙と鼻水と涎を垂らしながら咳き込むワカメ。
優男ぶっているこの男にしてみれば、今のやり取りで周辺に野次馬が出来ているような注目の的の中でこんな真似をされれば、どうしようもない程に恥を掻かされたと感じるだろう。
これでよし。こいつの逆恨みが凛に向かうよりは、俺に向けられた方がまだいい。
……あ。近くに穂群原学園の制服を着ているのが何人かいる。
しかもその多くは地面に尻もちを付いているワカメではなく、俺の左腕に抱きついている凛を見ている。
猫を被ってた筈だけど、いいのか?
美綴にも誤解云々と言ってたけど、間違いなく色々な噂が流れると思うんだが……
その辺に関しては、凛も承知の上なんだろう。
俺と噂されるのよりも、ワカメに言い寄られる方が嫌だったって事か。
このワカメ、どこまで凛に嫌われているんだろうな。
「さ、行きましょアーク君。じゃあ私達は行くから、出来ればもう話し掛けないで頂戴」
ふんっ、と鼻で笑って告げる凛。
……折角ワカメの怒りを俺の方に向けようとしたのに、また随分とはっきりと……
「遠坂ぁっ、アークッ、お前達2人、絶対に許さないぞ! 僕にこんな事をして、ただで済むと思っているのか!?」
地面に這いつくばったままにそう告げてくるワカメ。
ちっ、このままだと何かあれば凛の方にも被害がいくか。
しょうがない。駄目押しをしておこう。
俺の腕を抱いている凛から手を離し、ワカメの方へと近づいていく。
「ひっ!」
それに気が付いたワカメが小さな悲鳴を上げるが、無視してワカメのすぐ側の地面を強い足音を立て踏みつける。
恐らく本気でやれば、コンクリートに俺の足がめり込んだだろうが、そこまでやれば幾ら何でも目立ちすぎるし、道を歩く人の邪魔にもなる。
そういうことで、踏み砕いたりはしないまでも、ワカメにとっては恐怖を感じたのだろう。地面に座ったまま強引に後退ろうとし……
「ただで済むと……何だって?」
その前に、俺の手によって腕を掴まれ、それ以上後退れなくなる。
「ひっ
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