月下に咲く薔薇 8.
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つけてくれ」
「よっしゃ! 混ぜてくれるってんなら、ちょっくら俺が探してくるぜ」
気前のいい声がした直後、お下げ髪をした少年の姿は植木の間から消えていた。
約3分後。デュオはクロウ達を、よくある系列コーヒー・ショップに案内した。
よく見つけたものだと、思わず全員が感心せずにはいられない。
その店舗は急遽隣のブロックまで借りたらしく、奥に行く程変則的なレイアウトになっていた。壁際に1つ、ややわかりにくい所に開放感とは無縁な空間がある。そこに2つの円卓が無理矢理ねじ込んであった。
風下の喫煙席の最奥なので、換気は最悪。通路側の壁と柱の圧迫感もひどく、開放感を売りにしているショッピング・モールの中にあってその思想を完璧なまでに排除している。
デュオは2つの円卓を寄せ、その境に愛用の黒い帽子を置いていた。
「いいだろ? この席」
「ああ、上等だ」口端を上げるロックオンが、「しかもここは、セルフ・サービスか」と1枚立てられているきりのメニューを軽く指で弾く。
無意識のうちに頬が上がってしまったのか。すかさず、ロックオンがクロウに釘を刺す。
「水だけってのは無しだからな。無し。人様の場所を有料で借りるんだ。安くていいから、お前も何か飲め」
「…そりゃそうだ」
クランとデュオ、そして一刻も早く本題に入りたそうなミシェルを顧み、年貢の納め時と財布を取り出した。
店で最も安価なコーヒーを頼んでテーブルに置く。そして、全員がテーブルにつくのを待ち、「さっき飲み込んだ話なんだが」と座りながらクロウは切り出した。
会議室に残っている時、ロジャーとキラの会話を立ち聞きした事。そして、そのロジャーを追いかけ、ZEUTHが彼等なりの方法で危険を感じ取っている事などを説明する。更には、企画の進行を思い、大山には一切何も話さなかった事も。
その後にロックオンが続き、自らが持つ情報として、バラを贈られたパイロットは他にもいたとミシェル達に伝えた。当然、アテナから受け取ったその1本が、通路で突然消えてしまった奇っ怪さも添える。
落胆するどころか、始終ミシェルの表情は硬い。バラの贈り主に対する下世話な好奇心は、ここに到着する前に捨てていたのだろうか。少年は、遍く女性を愛する色男からSMSの切れ者少尉に自らを切り替えていた。
そのミシェルが、全てを聞き終えた後、最初に口を開く。
「ここで一度、時系列に整理をしたいと思う」高校生スナイパーが、テーブルに指で小さな丸を2つ描いた。「俺のメサイアとアテナのサイキックのコクピットに、それぞれ1本づつバラが残されていた。ZEXISはゆうべ出撃しているから、俺達の機体に近づいた時刻は、バトルキャンプに到着した直後から、今朝俺達が母艦に戻るまでの間。…と言いたいところだが、実際はもう少し幅があるかもし
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