月下に咲く薔薇 8.
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の歯自体が大きく、人間を丸呑みする事さえ可能な口が盛んに開閉を繰り返すので、見る者は生存本能を刺激され生物としての根源的な恐怖に火が点る。
ブラスタが無ければ、クロウもただの人間だ。存在感のある口の俄展示に、背中が粟立つのを自覚した。
「ただの映像か? …何で口しかない」
敢えて声に出すと、幾分落ち着きが戻って来る。
しかも、その見事な歯並びにクロウは見覚えがあった。
奥歯に近づく程上顎の歯が剥き出しになる独特の口の形。敵の中でも特に手強い怪獣のものと記憶している。
とはいえ、いつも愛機で迎え撃っているあの凶暴な襲撃者を、どうして平和なショッピング・モールで見上げなければならないのだろう。
相変わらず、口は激しく開閉を繰り返していた。息音は一切聞こえず、上下左右に動くその有様は、まるで怒りや苛立ちで居ても立ってもいられないかのように映る。
「ライノダモンだ」クロウは、ぼそりと呟いた。
2人の表情が、一言の重みに殴りつけられ苦悶に歪む。
「わかるか? 次元獣だ! 悪戯かどうかの確認は後回しにした方がいい。あんた達も、ここから逃げろ! 全身が転移した後じゃ、手遅れになる!」
− 9.に続く −
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