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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第三八話 心の隙
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帝国軍と斯衛軍の間には医局の外科と内科のような派閥による対立関係が少なからずある。
 そしてその関係が悪化するのを斯衛軍上層部は極端に忌避する傾向がある……それは斯衛軍の規模が一個師団に過ぎず、規模などで帝国軍に遠く及ばず、下手な世論が形成されれば斯衛軍そのものが帝国軍の一部として吸収される危険もあるからだ。

 そうなれば、最悪武家其の物が存在を許さなくなる可能性すらある。
 少数派に対し最も苛烈な弾圧を行う政治体制が民主主義であるからこその危険だ。

「ふっ、その心配はないよ。」
「な……に!?」

 男の稚拙な脅しを一刀両断する甲斐。このような何もない区画は基地外からの侵入を監視するために監視カメラは外向きに配置されている。
 そのため、内部監視カメラからも死角となっているが、それに関しては例外が存在する。

「なんで僕が君みたいな不純物が彼女に近寄った時点で出てこなかったのか分からないのかい?」
「ま、まさか……」

「普通の女性が相手で未遂なら、まだ余地はあったのに……欲を出して身を滅びしたな。」

 相手の肋骨ごと肺すら踏み砕く直前で踏みつける甲斐の背後で四機の漆黒に塗装された不知火がジェット噴射で周囲の空気を吹き飛ばしながらゆっくり降下してくる。

 先ほど機体調整を兼ねた訓練のために飛び立った機体たちだった。
 戦術機の捉えた映像などの情報はすべてレコードに記録されている、これ自体が立派な証拠として成立する。


「くっそ!あのバカの考えになんぞ乗るんじゃなかった!!」
「残り少ない余命をせいぜい後悔しながら過ごすといい。」

 悔しさからか、歯ぎしりする足の下の男を心底見下しながら甲斐が処断を告げるのだった。




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