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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第四十八話 音楽の神様その二

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「合格しますよ」
「そう思われますね」
「はい」
 僕は思ったことを正直に話した。
「そう思いますけれど」
「そうですね、普通はですね」
「確実って思いますよね」
「ですが私は」
「そうはですか」
「思えないのです」
 その辛そうなお顔での言葉だった。
「性分として」
「ひょっとして先輩って不安になる方ですか」
「はい、どうしても」
「安心出来ないんですね」
「何でも確実とは思えないです」
 受験にしても他の人が合格間違いなしを言ってくれてもというのだ。
「どうしても」
「そうなんですね」
「ですから今回の受験も」
「受験勉強もして神社でお願いもして」
「そうしないとです」
 安心出来ないというのだ。
「コンクールでもいつもそうで。練習していないと不安になります」
「あの、じゃあ」
 僕は早百合先輩のそのお言葉を聞いて思った、先輩がいつもピアノの調整をしたりお掃除をしていることもだ。
「いつもピアノを調整していることも」
「実は」
「そうだったんですね」
「調整をしてピアノがいい音が出るかどうか」
「不安だからですか」
「それでお掃除をして埃が音に影響していないか」
 そうしたこともというのだ。
「そして奇麗なピアノでないと」
「不安になるからですか」
「ピアノは黒くて光っているのでどうしても埃が目立ちます」
 このことは僕もわかる、黒いと白い埃がやけに目立つ。
「ですから」
「それで、ですね」
「お掃除もしないでいられないです」
「不安になるから」
「どうしても」
「そうですか」
「神経質なんです」
 ご自身のことをだ、早百合先輩は仰った。
「自分でもそう思っています」
「だからですか」
「はい、受験でもコンクールでもピアノそのものにも」
「精神的に大変ですね」
「いつも。ただ」
「ただ?」
「寝る時はもうすぐに寝てです」
 それでというのだ。
「よく眠れる性分なので」
「あっ、そうなんですか」
「寝ている間は落ち着いて熟睡しています」
「その分だけ楽ですよね」
「寝ても熟睡出来ずに疲れてしまう人もいますが」
 それでストレスを溜めてしまう人がいる、やっぱり人にとって熟睡出来るということは相当に大事なことだ。
「それでもです」
「早百合先輩は違うんですね」
「寝られます」
 こう僕に話してくれてだ、そのうえで。
 僕達は玄関に来た、僕は玄関のところに靴を出していたのでそこに行って靴を履いた。そして早百合先輩はご自身の靴箱のところに行ってだった。
 先輩も靴を履いた、そうして玄関でまた合流して話した。話はさっきの続きだった。
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