胡蝶の夢
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毛利の意外な行動に長曾我部が驚いて彼を振り返る。
まじまじと見られることに気恥ずかしさを覚えた毛利は、長曾我部抱きつき、彼の胸に頬を押し当てた。
確かに長曾我部の身体は冷えている。
温めるように腕を回し、冷たい肌に吐息を吹きかけた。
体内を駆け巡る血潮の息吹に耳を澄ませ、身体に染み付いた潮の香りを肺まで吸い込む。
夢で見た波間が頭に蘇る。
毛利が感じていたのは厳島のこの浜の匂いではなく、長曾我部の匂いだった。
彼を懐かしみ、無意識に求めていたのだ。
改めて、そのことに気付かされた。
「どうした。ひょっとして温めてくれるのか」
「貴様が……、そうしたいのなら」
「今夜のあんたも少しおかしいな。月にでも酔ったのか」
腹部に廻した毛利の腕に長曾我部の手が重なり、温もりに包まれる。
夜の暗闇は都合の悪いものから目を逸らすのにちょうど良い。
だから、こうして抱き合える。
きっと長曾我部もそうなのだろう。
「我も、少し酔っている」
「嘘付け。あんた酒呑まねえだろう」
明るく笑う長曾我部の声につられて毛利の口許も緩んで無意識に微笑んでしまった。
「今の表情、ますます惚れそうなんだが。どうしてくれる」
「貴様の好きにすれば良い」
「言い換えれば、俺の好きにして欲しいってことか。あんたいつも堅っ苦しいことばかり言ってんだから、言葉は違わずに正しく使えよ」
「詰るだけならもう良い。帰る。二度と来るな」
「いや、やります。抱かせてください」
冗談半分で追いすがる長曾我部に笑い、差し出された腕の中に大人しく戻る。
「あんたのその着物、敷物にしてもいいか? 」
良いかと聞かれれば駄目だと返したくなるが、毛利にとっても異論はない。
今宵は、この男が欲しいのだ。
宝石のように愛でられ、慈しまれたい。
確かに今夜の毛利はどうかしてる。
毛利が頷くが早いか、長曾我部は彼の肩から着物を奪うとそれを下に敷いて彼の身体を横たえさせる。
首筋に長曾我部の唇が触れると背中をゾクッとした戦慄が駆け抜けた。
愛撫もそこそこに性急に脚の間に手が滑り込んでくる。
閉じて防ごうとしたが、性器を掴まれ、もみ込まれると息が上がって声が漏れてしまった。
「口でしてやる」
「……待て…、長曾我部……っ」
待てと言って待つ筈がない。
足首を掴まれ、大きく開かれた脚の間に長曾我部が顔を埋め、直接舌を這わせてきた。
湿った口内に導かれ、濡れた舌が毛利の先端に巻き付く。
声を殺そうとしても乱れた息まで整えるのは無理だった。
唾液が絡む水音が聴覚を刺激して、毛利の口から喘ぎを誘う。
「……ん…っ、……く…っ…、」
ちゅくちゅくと音を立てて舐め回
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