暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
求めるもの
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
生きてる? でも」

 肩を抱いて震えるリースリンデ。
 実際に見てたんだ。
 冷静に考えれば判んだろうが。

「本当に殺されてんなら、今頃は水面に灰が散っとる。アイツは近いうちに自分の魂が尽きるって解ってたからな。物凄ぉく面倒くさいが対策はある。とりあえず今は二の次で良い。それより」

 フィレスから受け取った日記を、子供マリアに向けて放り投げる。
 日記は子供マリアの手前でピタッと静止、難なく両手に収まった。
 そういう使い方もできるのか、『空間』。

「協力しろとかほざくくらいだ。考えがあるんだろうな? その羽根か?」

 ひねった黒い紐と銀の留め金でフィレスの首にぶら下がる、純白の羽根。
 これですか? と、フィレスが留め金部分を軽く持ち上げてみせた。

「残念ながら。アリアへの接近には、ほぼほぼ、期待できないそうですよ。この羽根自体が厳しく制限しているようで」
「制限?」
「その羽根、ティーの血を使って留め金と繋いでるみたいなの。私の本体がレゾネクトの所へ行く直前でアリアに残した物だわ」
「それが?」
「レゾネクトにだけは決して近寄るなって、触ると切れそうなほど、強烈な思いが籠ってるのよ。向こうから接近された場合はどうしようもないけど、羽根のほうからレゾネクトに近寄るのは全力で拒んでる。レゾネクトが傍に居る限り、アリアの元へ直接跳ぶのは絶対無理。私の力に関係する場所か、レゾネクトに反する場所か、とにかくレゾネクトから離れた所へ導くようになってるの。運良くアリアが一人きりになっていたら、喜んで連れて行ってくれるでしょうけど、難しいわね。そんな隙を見せてくれるなら、とっくに会えている筈だもの」
「つまり、お前らの空間移動は役に立たないと」

 フィレスと子供マリアが揃って頷く。

「私達がアリアと直接会うのは難しい。貴方達二人がそうしていたように、地道に捜し回るしかないわ。でも、手掛かりは見つけたのよ」
「! 手掛かりだと?」
「世界樹の根元で世界の現状を見てきたと言ったでしょう? 今、世界中で小規模な混乱が起きているの」

 子供マリアが服にしてる上着のポケットから、小さく折り畳んだ白い紙を取り出して広げる。

 『会報』とかいう読み物だな。
 クロスツェルの教会でもたまに配布してた、アリア信徒への告知用紙だ。
 この文字は……あの国で発行したやつか。

「読んでみて」

 子供の手のひら一枚半程度の大きさの紙を手に取り。
 上から下へと目を走らせる。
 適当な挨拶から始まって、いくつかの、特に重要でもない催し物の案内。
 それと、

「…………女神アリア顕現(けんげん)に伴う布教活動の自粛と、緊急時避難及び対策の再確認要請だあ!?」


「そう。アリアは既
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ