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逆さの砂時計
求めるもの
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おおおおおおおおおおおおおおおおおおお────ッッッ!!」



「…………それが、開口一番に言いたかったことなの? ベゼドラ」

 耳を押さえつつ呆れたような半眼で俺を見る、実体の子供マリア。
 お前だって同じことを思った筈だろ!?
 そうでなくても、思え!

「全っ然、足りん! 直接殴りてぇ!!」

 なんだよ、裏切ったとか、裏切りたくないとか。
 気にし続けるくらいなら、最初っから勇者業なんぞ断れっての!
 バカか! 阿呆か!
 ああ、そういえば元からバカだったな!
 バカを極めたバカの王だな、くそったれが!

「レゾネクトのクソ野郎も、完全に幼児趣味の変態中年親父じゃねえか! 絶対分かってんだろあれ! 実の子供にベタベタベタベタ、気持ち悪ぃ!!」

 にやけた顔で素っ裸の娘の肩を抱くとか、さするとか。
 変態の極致だな!

「悪魔的に、レゾネクトは中年で、アリアは幼児なの? そして、変態度と気持ち悪さで言えば、貴方も彼と大差ないわよ」
「一緒にすんな! 俺に血縁はいねぇし血縁に手を出すほど腐ってねえ!」
「あら。その辺りの感覚は、悪魔も人間と同じなの?」
「知らん! 俺は興味がないだけだ!」
「……興味を持ったら血縁でも何でも良いのね。早くアリアを連れ戻して、神々の世界へ導かなくちゃ……」
「ロザリアはやらん!」
「貴方にあげるつもりはないわよ、ベゼドラ。仮に将来を託すとするなら、クロスツェルのほうがずっとずっと安心だわ。ねえ、リースリンデ?」

 子供マリアは大袈裟なため息を吐いて。
 自身の肩に座ってるリースリンデの頭を指先で撫でた。

「はい! もちろんです! ……でも、クロスはさっき、魔王に……」

 ……さっき?

 そういや、空の色とか太陽の位置とか。
 マリアの記憶を見る前と、ほとんど変わってないな。
 潰した花と土埃を払いながら立ち上がって周囲を見渡しても、特に大きな変化はない。
 コートも濡れたままで重いし。
 たっぷり数年分の記憶を、せいぜい数分程度で見送ったってことか。
 『空間』での鑑賞と、意識への介入(悪魔の声)とじゃ、ずいぶん違うんだな。

「クロスツェルさんが殺されたとは思えません。アリアはまだ、自由意思を保っている筈。レゾネクトにとってのクロスツェルさんの存在は、アリアに対する束縛要素だと推測します。どちらかというと、契約が完遂するまでに死なれては困るんじゃないでしょうか」

 フィレスが、黒い日記をパラパラとめくりながら俺の前に立って。
 パタンと閉じてから、「どうぞ」と渡してくる。

「死んでしまう前に時間を止めて手元に置いたと考えれば、むしろ安心して良いかと。連れ去られてしまったのは大問題ですが」
「クロスが、
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