求めるもの
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思ってるわ。フィレス様も、目の前に居るようで居ない、自分を見てるようで見てない、笑ってるようで笑ってない。まるで空虚な闇と対峙してるみたいだった、と言っていたし」
「具現化した意思? ……ああ、今のお前と同じか」
両肩を持ち上げて苦笑う子供マリア。
こんなトコでお揃いになっても嬉しくはないってか。
「契約の力は、契約者に直接発揮するか、契約者を通して発現するものだ。本体と別で実体に等しい自分を新しく作り上げるとか、聞いたことねぇぞ。どんな契約を交わしたら、ンな芸当ができるんだか」
「レゾネクトの特性が全然掴めてないんだもの。何をされたって今更だし、今後は滅多なことじゃ驚かないわよ。私は」
そりゃ、王城の中であんだけ驚きまくってりゃあな。
「レゾネクトの特性、ねえ?」
どこぞの国を丸ごと消滅させたり、山脈を削って河に変えたり。
世界樹の力を使ってたり、屋内で雷を発生させたり。
空間を移動する力が無い筈の状態で移動したり。
自分自身を、実体に等しい形でもう一体作ったり。
極めつけは、『悪魔のクセに、神々の力が一切通用しない』って辺りか。
本当に効かないなら、アルフリードが付けた傷とか、マリアが刺した時に見えた苦痛の表情は何だったんだ?
演技で相手をからかうような性格には見えなかったが。
いちいち喋ってなかったし、フィレスの『言霊』とも違うよな?
この全部に、共通するもの…………
「『ありえない』、とか?」
「だとしたらもう、完璧にお手上げね。何をどうしたって『ありえない』で済まされてしまうもの。でも、そんな抽象的すぎる特性を持つ悪魔なんて、存在するの? 神の性質にも悪魔の特性にも、それぞれちゃんと筋が通った法則があると思ってたけど?」
「力は法則に従って作用するモンだ。だが、アリアが法則違いの複数の力を継いでるように、前例を必要としない異例や例外って奴も、否定はできん。レゾネクトもその部類で、だからこそ魔王とか呼ばれてたんじゃねーの?」
知らんけど。
「……もしかして、私の過去を見た今でも、ロザリア以外に興味はない?」
薄い水色の目を疑わし気に細くした女が、一歩手前まで歩み寄ってくる。
「当然だろ。なんだ、同情して欲しかったのか? 可哀想に、とでも言えば満足か? 男共に振り回されて気の毒にな……とかか?」
同情する点がドコにあったのか知らんが、あんなの完全に自業自得だろ。
アルフリードの魔王説得、それに対する咄嗟の柔軟性と判断力の無さ。
コーネリアの歌への準備不足。
アルフリードのバカに感化されすぎてて、レゾネクトを殺す絶好の機会を二度も逃したマリアの歪んだ決断。
ガキの恋愛ごっこかっつーの。
ティーの言葉通り、青臭く
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