第6章 流されて異界
第126話 犬神
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せんから。
それで結局、弓月さんの従姉に関しては万結とアガレスで。そして、この部屋の方には弓月さんと俺、それに有希の三人と言う配置に。
この呪いの術がどのような系統の呪詛に分類されるか分からない以上、弓月さんの従姉の囮……呪的に呪いの相手だと錯覚させるような方法を施した所で、その呪いの元が分からなければ、囮を無視して本体の方に呪が向かう可能性が有る。故に、ある程度の戦力の配置を怠る訳には行かず……。
結局、もしかすると完全に無駄に成る可能性も考慮しながら、万結とアガレスと言う貴重な戦力を配置せざるを得ない状況に成って仕舞ったのですが……。
こうなって見ると、ハルケギニアに残して来た戦力。ルルド村を護る為に置いて来て、その後こちらの世界に流されて来てからは、ガリアの状況が分からない以上、召喚をする事も躊躇われる状態と成って居る俺の式神たちが居ない事が悔やまれるのですが……。
ただ、無い袖は振れない。現在、俺に付き従っている戦力だけで今晩はやり繰りするしかない。
そう覚悟を決めた刹那。再び、犬の遠吠えが聞こえた。今度は先ほどまでのソレよりもかなり近い。
そして同時に、僅かに自らの口元が嗤いの形を取った事に気付く。今まではまったく敵の手の内が分からなかったのですが、この瞬間にようやくその一端を掴めた可能性が出て来た、と感じたから。
これで少しはやり易くなるでしょう。
有希たちが施した結界を、今近付いて来ているヤツラが越えられるかどうか。微妙な線か。ヤツラを使役している存在の呪力、もしくはソイツが持って居る可能性にすべてが掛かっている、と言う感じかな。
口元を嗤いの形で歪めながら、冷静な頭脳でそう判断する俺。
確かにヤツラは、人間が使役出来る人造精霊としてはかなり強力な部類のヤツラ。更に、複数体同時に使役する事も可能でしょう。
但し、ヤツラは使役者に祟る存在でもあるのだから……。
使役者が自らの存在を全て賭ける心算――それは当然、自らの生命を全て差し出す事は言うに及ばず、その人間の家系に連なる者すべての可能性を差し出す心算ならば、どのような結界でも食い破られる可能性は有る。
憑き物筋と言うのは家――家系に現われるものだったはずですから……。
思考は巡る。身体は適度な緊張を伴った臨戦態勢。そして、その視線を古風な障子により隔てられた外界へと向ける俺。
果てさて。俺たちの仙術と外法。どちらがより強固なのか。有希や万結が施した結界は小さな結界を幾重にも重ねあわせた物。その内のひとつやふたつが破られたとしても、全体がすべて無効化されると言う物ではない。
確かに万能の神ならぬ身が施した術だけに絶対に破られない代物ではないが……。
その瞬間――
何かが爆ぜるような感覚
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