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歌集「春雪花」
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 来ぬ人を

  待ちてや花も

    枯れ果てて

 山の端色づく

   けふも待ちにし



 来ないと解ってはいても、ずっと彼を待っていてしまう…。想いなど伝えようもないと言うのに…。

 そうしているうちに花も枯れてしまい、山の端から紅葉が始まる季節となり、そして…今、この瞬間にも彼を待っている自分に気付き、苦笑せざるを得ない…。



 寒き夜に

  星影淡く

   陰りしも

 篝火なりし

    わが想いなれ



 十月も初めだと言うのに、夜はやけに冷え込む。
 空には星影が微かな雲に覆われ、余計に寒々しく感じてしまうが…彼への想いはそれに反し、まるで夜を照す篝火の様に未だ燃え続けている…。

 それは決して全てを照せるようなものではないが、弱々しくもなく…簡単に消せるものでもない…。

 想いは燃えど心は淋しくなるのは…どうしたら良いのだろう…?




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