5部分:第五章
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からね。あの仮面は被ったら駄目なんだよ」
「それでですか」
「うん、ピエロになるには毎日毎日練習して」
おじさんは真面目な顔で男の子に語る。
「そのうえでなるものだからね」
「だからあのお面は」
「そう、だからこそ着けちゃいけないんだ」
呪いがある以前にということだった。
「ピエロになる為にはね」
「そしてピエロになる為には」
「僕はね、今でも毎日練習しているんだ」
おじさんはここでこう語るのだった。
「毎日ね。そうしてピエロになっているんだよ」
「あの動きもお化粧もですね」
「それでいいかな」
優しい声になって男の子に尋ねてきた。
「それで。毎日練習してそれでピエロになりたい?」
「はい」
男の子はあらためて頷いたのだった。
「まだよくわからないですけれどそれでも」
「そう、それでいいんだよ」
おじさんは男の子の言葉に満面の笑顔になった。温厚な顔がさらに穏やかなものになっていた。
「それでいいんだよ。それじゃあね」
「それじゃあ?」
「僕はもうちょっとしたらこの街を後にするけれど人を紹介してあげるから」
こう言うのであった。
「その人に教わって。そして素晴らしいピエロになってね」
「毎日練習してですね」
「そう、毎日ね」
優しい微笑みと共の言葉だった。
「頼むよ。いいね」
「わかりました」
男の子は強く誓うのだった。本当に毎日練習してそうしてピエロになることに。何かになる為には毎日努力をしなくてはいけない、それが男の子にもわかった、その時にわかったのだった。
ピエロの仮面 完
2009・6・5
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